武器ストーリー 765 文字
全ての抗争は詩歌となり、弦に乗る軽やかな音となった。楽譜に秘められた力はまるで、暗闇を切り裂く払暁の光のようだ。
原文765 文字
「クロイツリード、夕暮れに鳴るバグパイプの音を知っているか」 「風の中で低い声で歌う人を知っているか。さらば、さらばだ」 「私たちはその涙を拭かない。夜風が涙を運ぶから」 「親友よ、夜風が涙を運ぶから」 噂によると、貴族の暗殺を企てた流浪楽団の中に、 クロイツリードと呼ばれた貴族出身の反逆者がいた。 楽団の革命が失敗した時、詩人が彼のために詩を書いた。 しかし、彼の本名は「クロイツリード」ではなかったのだと言う。今となっては本名を知るすべはない。 クロイツリードは、当時の古文で「磔刑の歌」という意味の言葉。 あの暗い時代、脱走兵、賊や強盗、密造者は 公開処刑されていた。貴族は受刑者の苦しい叫び声を、冗談めかして演奏のようだと嗤った。 夜明けの見えない時代、「クロイツリード」という言葉は革命に失敗した者の代名詞となっていった。 やがてこの言葉は、反逆者、抗争者の共通の呼び名となった。 流浪楽団のクロイツリードの本名は忘れ去られた。 だけど大丈夫。当時、風の中で無数の別名が歌われていたから。 「無名の牧者」、「エーモンロカ」、「路地の義賊」 「アカツキ」、「グンヒルド」、「ラグヴィンド」… 最後のクロイツリードは、千年に渡る眠りから、 この地に流浪してきたある異国の少女の小さな願いによって蘇った。 彼がある少年の小さな願いによって生まれたように… クロイツリードのことを書いた詩や歌は大流行したが、 今となっては歌う人は一人もいない。あの時代以降、その名前の存在は必要とされなくなったからだ。 「クロイツリード、遠方の地平線が白くなっているのを知っているか」 「風の中で低い声で歌う人を知っているか。さらば、さらばだ」 「朝陽は私の涙にキスをして、夜が明けたと教えてくれた」 「私の愛する人、夜明けが訪れた」