ファデュイ
氷の女皇に仕える組織。各国で暗躍する
最高幹部が執行官で、十一人が序列で並ぶ。彼らはファトゥスという呼び名も持ち、番号が小さいほど古株とされている。
ファデュイは各国で嫌われ者として登場するが、組織全体が悪として描かれているわけではない。末端の兵士には家族を養うために働いている者がいるし、壁炉の家のように孤児を育てている施設もある。彼らが動く理由は一つ——氷の女皇が天理に反旗を翻すため、そのために必要なものを世界中から集めている。
女皇の目的が正しいのかどうかは、まだ明かされていない。
一次資料での用例
19この言葉が出てくる場面
24かつて、神里家は国宝級の刀工を守れなかったことで大打撃を受けました。ファデュイの奸計にかかり、多くの臣下を失い、数多の罰を受けたのです。お父様はその重圧のせいで急激に衰え、神里家の幕府においての地位も急落していきました…幸いお兄様が家業を継いでから挽回することができましたが、一族が復興して一致団結を保っている今も、重要な場面は未だにお兄様に頼るしかございません。
単に強さだけで言えば、ジンはすでにモンドで一二を争うレベルの剣士である。だが腐朽と暗闇を突き通す剣より、歌声と自由を護る盾になりたいとジンは心から思っている。 「守護」は「破壊」より難しい。 小隊隊長から副団長に昇進した時、ジンの目の前にこの壁が立ちはだかった。外部はファデュイからの外交圧力で、内部には裏切り者——元督察長の仲間。こんな状況を立て直すのは簡単なことではない だが、ジンは一人で外部の圧力に屈する事なく騎士団を率い、アビス教団の数々の陰謀を砕き、西風騎士団のかつての栄光を取り戻した。 「神の目」を手に入れた瞬間の事を、ジンは一生忘れはしない。手のひらに吹き上がるそよ風を感じた刹那、その場は静寂に包まれ、空間からは色が消えた。ただ、グンヒルド家の古く厳しい家訓だけが、ジンの頭の中に浮かんでいた。 「モンドを守る」
騎士の肩書きと「神の目」を捨てた後、ディルックはワイナリーの業務をメイド長に任せ、一人でモンドを出た。七国を巡る旅の中で、ディルックは自身の求める秘密に徐々に近づいた。 全ての手がかりは「ファデュイ」——巨獣のような大組織に繋がっている。彼らは「神の目」の模造品「邪眼」を密かに作り出した。それは、使い手を侵食するものであり、父親を殺した元凶でもある。 父がこんなものを探し求めたのは、正義を貫く力を手に入れたかったからだろうか? 今となっては、ディルックにそれを知るすべはない。しかし真実を全て知る前に、退きたくはなかった。 荒野で生きる鷹のように、ディルックは殺戮と狩りの旅を続けた。数え切れないほどの戦いの中で、体が傷だらけになっても、彼の気持ちが揺らぐことはなかった。そして、彼の実力も戦いの中で磨かれ続けた。 しかし「ファデュイ」の11人の執行官も只者ではない。ディルックが何度もファデュイの拠点を破壊した後、執行官が彼の元にやってきた。 生死の境をさまよった彼を、北大陸から来た地下情報網の観察者が助けた。観察者曰く、自分はディルックを長い間「観察」し、そのやり方を認めているとのことだ。 命拾いしたディルックは長い怒りから目覚め、自分のやり方を見直すことにした。その後、彼はその地下情報網に加入した。 騎士団に入った頃のように、ディルックは最も真剣な態度で全てに臨み、自身の天賦の才で情報網の上層部に近づいていった。 地下情報網では、自ら名誉や身分、名前すら捨てた戦士はいくらでもいる。彼らと長く過ごしたディルックは、父親の死で打ち砕かれた信念を取り戻すことはできるのか…?
「ファデュイ」の「淑女」が彼の目の前に現れた。 事前に結んだ「契約」により、彼女は岩神モラクスの「神の心」を貰いに来たのだ。 旅人と二人の「ファトゥス」の目の前で、鍾離は自分と「氷の神」との契約を明らかにした。 彼曰く、これは最後の時に結んだ「全ての契約を終わらせる契約」だ。 しかし、今まで璃月港を守ってきた神の力までも失うのは、どう考えても、この取引における岩の神の代償は大きすぎた… 人間同士の契約においても「等価交換」が鉄則だ。 数千年に渡り、無数の「契約」を結んできた岩神が、今回のような重要な契約を結んだのは、きっと利があるからこその行動だろう。 岩の神は、自らの「神の心」を取引の天秤に掛けた。 氷の神は、一体どんなモノを天秤のもう片方に掛けて、均衡を保っているだろう。
近頃、「公子」のファデュイでの評価がまた下がったらしい。しかし、悪評を一掃するためであれば、彼は積極的に動くだろう。ふむ…そう考えると、今度彼との宴席でまた面白い話が聞けそうだ。旅人、お前も一緒に来るか?
ファデュイの頂点たる「ファトゥス」に属しはするものの、「公子」タルタリヤという青年には、どこかあどけなさが残っている。 まるでベルベットに包まれた白銀の刃のように、その朗らかな態度と自信に満ち溢れた内には、鍛え抜かれた戦士の肉体が隠されている。 彼は最も若いファトゥスでありながら、最も危険なファトゥスの一人でもある。 だが「公子」は、ファデュイの同輩たちとそりが合わないようだ。 純粋な戦士である彼には、この陰謀が渦巻く集団は噛み合っていないかのように見える。
ファデュイ成立以来最も若い執行官として、タルタリヤは束縛を受けずに、自分のやり方を貫き通す資格がある。 このやり方は、ファデュイの中では好ましく思われておらず、他の執行官とも風格がずれていた。しかし、その自分勝手なやり方の裏には、責任に対する堅い覚悟と隙のない慎重さがある。 誇り高い故、彼は必ず約束を守る。不可能に思われる約束であっても、彼が反故することは一度もない。 単騎で巣窟内の龍を全て倒したり、危険な秘境から無事に帰ってきたり、または、一人でとある大貴族の領地を転覆させたり… 約束を果たすだけでなく、その首尾もあざやかなものだ。 ファデュイ執行官の先鋒として、「公子」タルタリヤは常に、スネージナヤの敵の弱点の周りに姿を現し、矛盾が爆発する前に攻撃を仕掛ける。
スネージナヤの噂によると、タルタリヤは14歳から戦場に立っている そして不思議なことに、彼は生まれつき武芸の達人であり、様々な殺戮の技に精通している。 そして、もっと恐ろしいのは、この「公子」が戦闘に対する激情である。難しい戦闘に興味津々で、恐ろしい敵がいると狂ったように喜ぶのだ。 「公子」の傲慢さは、数えきれないほどの戦闘による錬磨と、戦いの中で得た経験から来ている。 そんな争いを好む彼の本性が、不必要なトラブルを起さないように、他のファデュイ執行官たちは、いつも彼をスネージナヤから離れた土地に派遣する。 しかし、なぜかこの男はいつだって混乱の中心にいるようだ。 非凡な経歴は彼を目立たせ、他人からの称賛を得られた。 ファデュイの控えめなメンバーたちとは違い、タルタリヤはよく演劇を観に行く。時には、自らその中の一員になることもある。
氷上釣りは、タルタリヤの幼い頃からの趣味の一つである。 あの頃の彼はタルタリヤでも、ファデュイの「公子」でもなく、父親の憧れの冒険英雄物語から名付けられたアヤックスという名前だった。 父親と凍った湖の水面に穴を開け、魚釣りをする。それは楽な作業ではなく、時には半日かける時もあった。 しかし、厚い氷に穴を開ける間も、魚がかかるまでの長い間も、いつだって父親は物語を語ってくれた。 それは父親の若い頃の冒険であり、タルタリヤが心の中でなりたいと誓った未来である。 そのため、彼はいつも真面目に聞き、物語の主人公に自分を重ねながら、魚が釣れるまで物語を楽しんでいた。 家を出た後のアヤックスも、その後の「公子」タルタリヤも、氷上釣りを趣味にしている。 ただ、昔のように物語を楽しむのではなく、釣りは戦士の根気を鍛錬し、戦い方を反省する修行となった。 こうして、武芸の鍛錬を目的とした長い瞑想が終わった後、魚が釣れたどうかは、彼にとってはもはや重要ではないのだ。
故郷に戻った後、少年には少し変化があった。 臆病や躊躇いを捨て、軽薄で自信に満ちた姿になった。 まるで、彼こそがこの世界の中心であり、戦いそのものは彼のために存在するようだった。 闘争は常に変化をもたらす。予測不能の変化は、万華鏡のようにアヤックスを吸い込んだ。 父親から見れば、元々やんちゃだった三男が、さらに暴れん坊になり、平和なモレペソク、別名「海屑町」に数々のトラブルを引き起こした。 というよりも、彼が闘争の中心になり、彼が行くところでは必ず争いが起きる。——そして、彼自身もそれを楽しんでいる。 ついにある日、危うく死人を出しかけた喧嘩の後、父は仕方なく、愛する息子をファデュイ徴兵団に送り込んだ。 ファデュイの厳しいルールによって、息子の性格が改善されるだろうというのが父親の願いだったが、実際目にしたのは、完全武装したファデュイが一人のガキにボコボコにされ、逃げ出した光景だった。 この件で、父親は大いに失望したが、ファトゥス第五位「プルチネッラ」は、タルタリヤの存在に興味を持つようになった。 彼はアヤックスの戦闘力に驚き、その闘争の中心にいる己を楽しむ性格に、興味を持つようになった… 「プルチネッラ」は処罰という名目で、アヤックスをファデュイの傘下に入れた。下っ端として働いてもらい、「氷の女皇」のために戦うことを命じた。 こうして、ファデュイの戦闘は、少年の限りなき征服の欲望を満たし、彼の膨れ上がった自我も、強敵に勝った快感で満たされていった… そして、ついにアヤックスは、ファデュイの「執行官」として抜擢された。「公子」タルタリヤの名を手に入れ、スネージナヤで最も権力を持つ人間の一人になった。 しかし、タルタリヤになったことは終点ではなく、世界を征服する野望の一小節にすぎない。
タルタリヤの「邪眼」は、過去の栄誉を象徴する勲章であり、現在の力の証でもある。 邪眼を授かり、ファトゥスになったあの日のことを、彼は未だにはっきりと覚えている。 冷酷かつ荘厳な神「氷の女皇」の前で、ファデュイ最初の執行官「道化」は、彼にこの勲章を授けた。 あれは恐るべし魔獣を討伐した褒美であり、無数の戦いを乗り越えてきた記念でもある。 だが、タルタリヤは特に喜びを感じなかった。あれは、戦士として当たり前の栄誉だったからだ。 新しい「仲間」の怪訝な顔も彼は無視した。他人の指摘や誹謗は、彼にとって無意味である。 「公子」になった少年が唯一尊敬する相手は、高台に鎮座する女皇のみである。 それは、女皇からより広い舞台と戦いの理由を授かったからだけでなく、彼女の睥睨の目付きも一因だ—— その目付きは、冷酷で純粋で傲慢で鋭かった。 彼女は尊い神であると同時に、真の戦士でもある。 こうして邪眼を授かった「公子」は、スネージナヤで唯一無二の女皇に忠誠を誓った。
俺はファデュイ執行官第十一位、「公子」タルタリヤだ。そして君は——争いを招く者だね、実に愉快だ。きっと相性がいいと思うよ。
相棒、ファデュイに入ってみないか?…いや、やっぱ今のはなし。今の君の立場だからこそ、一緒にいる俺に他の執行官と殺し合う理由ができるんだから。こんなチャンス、そう易々と捨てられるわけがないよね。
彼はファデュイ最初の執行官で、今の執行官たちのリーダーでもある。ただ、重要な場面でしか姿を見せないんだ。彼の功績については…正直、興味がない。俺が忠誠を誓うのは女皇様だからね。
打算的な人は別に嫌いじゃない。何しろ、俺がファデュイに入ったのだって、戦う機会がもっと欲しいからだ。けど、俺はどうしてもこいつのことが気に入らない。裏切ることで利益を手にできるのなら、彼女は躊躇なく女皇様に刃を向けるだろう。彼女の目には、狂気しかないからね。
総務司には、特別重視名簿というものがある。 掲載されている人物の数は多くないが、いずれも実力の侮れない強者だ—— 比類なき威容を誇る武装船隊の長、優秀で万能な異郷の旅人。 さらには、世を退いてもなお名声高き、仙人の名までが含まれている… これらの者はみな、たとえその意図がなくとも、簡単に璃月の情勢を変えられる力を持っている。 そのため万が一に備えて、総務司は今でも彼らに目を光らせているのだ。 また、この名簿とは別に、より機密レベルの高い秘密情報名簿というものも存在している。 その名簿に載っている人物こそ、正真正銘璃月に危険をもたらす可能性のある者たちだ。 一体、どのような名前が載っているのだろうか? ファデュイの執行官?あるいは謎深きアビスの勢力? あるいは、神の名さえも登録されているのだろうか? 七星以外でこの質問に答えられるのは、おそらく夜蘭だけだろう。なぜなら彼女こそが、この二つの名簿の編集をしている者だからだ。 この仕事の成果は彼女に愉悦感をもたらしてくれる。まるで鴉が毎日キラキラの宝物を巣に運ぶかのように、彼女は日々名簿の完成に向けて動く。 だが、この二つの収集癖には違いがある。鴉は翼をはためかせるだけで収集を達成できるが、夜蘭は収集のコストとして、血と汗を支払わねばならないのだ。 しかし幸い、このことにおいて彼女はまったくコストを気にしていない。どれだけの代価を払おうと、情報の価値とは比べ物にならないと考えているからだ。 いつの日か必ず、役に立つときが来る——璃月が五百年前のように、危険に対して無知なまま、災厄のさなかに堕とされることはもう決してないだろう。 彼女がいる限り、璃月が準備不足に陥ることはない。
岩上茶室で賽を振ってはならない。 どうしても遊びたいのなら、知り合いと一緒に行ったほうがいいだろう。 もしも見知らぬ女性から誘いを受けた場合は、絶対に無視するように。 これは、界隈の者からの忠告だ。 良い一日に別れを告げたいのでなければ、その恐ろしい女性と勝負してはならない。 その茶室の常勝将軍こそ、夜蘭のことである。岩上茶室の主——これが彼女のもう一つの身分だ。 彼女が異国から戻ってきたとき、ちょうど璃月は渦の魔神がもたらした危機のさなかにあった。そしてその一件が過ぎた後、岩上茶室を占拠していたファデュイがすべて追放されたのだ。 この機に乗じて夜蘭は岩上茶室を引き継ぎ、そこを秘密の事務所に改造した。 理由は二つ。まず、茶室には様々な者が訪れ、格好の情報源となり得るから。もう一つは、たまには一息ついて常連のふりをしながら茶を飲み、賽遊びをするのも悪くないと考えたからだ。 危険の本質は変数にある。夜蘭からすれば、賽を振って遊ぶことも同じだ。 宴席ではジャンケンでさえもが小さな冒険となり、賭け事をすればスリルを味わうことができる。どんな些細な挑戦にも、彼女は決して飽きることがない。 一人の情報屋として、彼女は自身の腕に自信を持っている。相手の目から情報を読み取ることができるし、必要なときには軽く手首を振るだけで、ルール顔負けの目を好きに出せるのだ。 もしも勝負が引き分けになれば、それが意味することは一つ——相手がイカサマをしているということ。 道理を説くべきではない。岩上茶室に道理などなく、あの女は尚更持ち合わせていないのだから。 故におとなしく、「敗北」か「イカサマ」か、一つ選ぶといい。 どちらも選びたくない?ならば初めに戻るだけだ。 ——岩上茶室で賽を振ってはならない。
これまでの情報屋人生において、夜蘭には失敗と成功を兼ね備えた、記憶に残すべき特殊な経験がある。 失敗は、その任務において、「幽奇の腕輪」と呼ばれる先祖代々の腕輪を失くしてしまったこと。 腕輪には一族の術法が刻まれており、簡単な情報伝達に使うことができた。しかしこういった小型法器は二つを一組として使う必要があり、一つしか残っていない今ではただの飾りでしかない。 成功は、相手が彼女から何も得られなかったこと。その相手は、決して小者ではなかった。現ファデュイ執行官第九位——「富者」。 「富者」が密かに敷いた貿易ルートは夜蘭の侵入を受け、貨物は足止めされた。その上、最も貴重な品が腕輪の代償と称し夜蘭に奪われてしまった。 ——古く、その毛皮から作られたコートに多大な価値を持つ魔獣がいた。しかしそれはかなり希少な品で、市場には存在しなかった。 魔獣の力は強大であり、数百年前に死を迎えたにも関わらず、未だ遺骨や残骸は腐ることなく、毛皮も香り立つようであった。 女皇へ贈るはずだったそれが、夜蘭に横取りされてしまったのだ。 それだけでなく、スネージナヤの人々が陛下のために心を込めて厳選した様式までもが、夜蘭によって否定されてしまった。 彼女は獣の皮を剥ぐと、璃月の苧麻と組み合わせ、新しく袖付きの肩掛けを自作した。 大きいとも小さいとも言える一連の事件は、二文字で表すことができる——得失。 何かを得て、失う。何かを失い、得る。それはまるで、夜蘭の人生のようだ。 しかし彼女はそんなことは気にもせず、ただそれを楽しんでいた。
あのファデュイの執行官?彼の行動は、私に利益をもたらしてくれたわ──彼の与り知らぬところでね。私が「岩上茶室」の前オーナーを徹底的に調査しようとした時、あの執行官のほうが一足早く、強引に借金を取り立てに行っていたの。しかも、前オーナーが偽造した帳簿まで見つけて、牢獄に入れてくれたのよ。そのおかげで、私も円滑に岩上茶室を引き継げて、悪くない拠点を得られたというわけ。
「魔鱗病」のせいで、あたしは治療のために「博士」のところに送られた…いや、あれは治療なんかじゃなく、「実験」だった。ああいう環境に長くいると、こう思うようになった——自分は、何か悪いことでもしたのか。なんで誰も助けてくれないんだって…そうやって、だんだん「ファデュイ」以外の人たちも恨むようになった。思えば…本当に幼稚だったと思う。
スネージナヤのファトゥス第六位、その称号は「散兵」。 この名は最初から彼に与えられたものではなく、使われるまでに百年以上の空白があった。 稲妻から離れた後、彼は「傾奇者」の名を捨て、再び名を持たない状態へと戻った。「道化」が彼を見つけるまで、彼は名を持つことなど望んでいなかった。 そもそも人形といい、傾奇者といい、どれも人々が彼に付けた称号に過ぎない。人と共に生きていくことをやめた以上、そのような意味のない名を気にする必要はなかった。 それでも、かの狂宴に興味を抱かせるよう「道化」は彼を説得した。そして、共にスネージナヤまで長旅をし、ファデュイのため尽くすようにしたのだ。 スネージナヤ本土で、とある見知らぬ人物が彼を招待した。その人物は自身を「博士」と名乗ると、彼の到着に大いなる歓迎の意を示した。同時に自身の実験における重要な参照対象として、彼を偉大な研究に参加するよう誘った。 「人形」の技術は元を辿ればカーンルイアから生まれたものだ。雷神の造物である彼はその特殊さがより際立っていた。「博士」はこの分野において大層な興味を持っており、彼をモデルに数十年も絶えず研究を重ねることでようやく、「断片」を制作する礎となる技術を手に入れた。 そして、その見返りとして「博士」は彼の体に隠された封印を解いたのである。それによって、彼の能力は下位のファトゥスと戦えるほどにまで飛躍した。 だがこの時になっても、彼は依然として名を求めなかった。同僚たちは終始彼のことを人形と呼び、彼も自分をそのように定義して、死を恐れず、消耗し切ることのない人形だと固く信じた。 女皇の命令のもと彼は部隊を率いてアビスへと向かい、長い年月をかけてそこを探索した。探索中、幾度も負傷しては「博士」に修復され、その負傷の中で強くなり、またより強い敵に遭遇しては負傷をした。 その後、彼はアビス探索の成果をスネージナヤへと持ち帰り、第六位の座を授かることになる。その使命もアビスの探索から命があったら即座に動けるよう待機するものへと変わり、ファデュイが各国で秘密行動する際の支援を行うものになった。 その時になってようやく、彼は自分がその名に相応しい存在だと思うようになったのだ、そう即ち——「散兵」であると。
「剛直で硬骨な『隊長』」、「公正で果敢な『隊長』」、「功績の豊富な『隊長』」…これらファデュイの中で流れている噂は、人形の耳でさえタコができるほど聞いたよ。絶対的な「公正」だなんて、とても危険な脅威だと思わない?ましてや、「隊長」はトップクラスの実力を持っているから、尚更さ。
長きにわたる実戦で鍛えられ、ミカは二年と経たないうちに遊撃小隊のコアメンバーとなって、数え切れないほどの任務をこなした。 やがて計画の日が訪れ、遠征隊がまもなく旅立つというとき。 壮行会で、大団長ファルカはミカの右腕の「神の目」に明らかに嬉しそうな驚きを見せた。だが、何度かミカと手合わせした後、大団長は「素晴らしいが、まだまだ足りんな。」という評価を残した。 当時のミカには、まだ大団長のその言葉が理解できていなかった。遠征隊が出発し、危険なエリアに足を踏み入れて初めて、ようやくミカは大団長がどのような魔物を基準としていたのか、段々と理解できるようになる。 あれら名状しがたき彷徨える「もの」は、はぐれた騎士にとって悪夢のような存在であった。 前衛たちの偵察の進み具合は、遠征隊全体の前進速度に直結する。出動が最も頻繁な日々にあっては、ミカは一日にたったの三十分しか休むことができなかった。 未曾有のプレッシャーに息が詰まりそうになるミカだったが、そうした未知なる危険の他に更にもう一つ、虎視眈々と窺う勢力があった… とある疲れた夜、休憩に入ろうとしたミカは突然、別の小隊の前衛から警告を受けた——騎士団が敵と遭遇したのだ。 ミカが慌てて駆けつけた時には、ファルカがすでに精鋭たちを集めて戦闘態勢を整えていた。 夜の闇に、背の高い兵士たちの壁が微かに見える。まるで生気のない戦う機械のように、彼らは静かに立っていた。 そして、敵の戦線の中央には漆黒の鋭利な人影。その顔はまるで火の光では照らすことができないかのごとく、人の心を奪うような暗い光だけが、その幽幽たる青い双眸から溢れ出ていた。 やがてミカは仲間から、相手の正体を聞かされた——ファデュイ執行官「隊長」、および彼の直属の尖兵たち。 西風騎士団の前衛がファデュイの前哨と遭遇してしまい、神経を過敏にした双方の増援合戦の末、ついにはお互いの最高責任者が出張る事態になったらしい。 空気に漂う硝煙の臭いは強烈で、危機感を覚えたミカの手足は痺れ、冷たくなった。 もし対峙が衝突へと変わっとき、自分はどうすればいいのか。 特にあの執行官…彼の何気ない一撃さえ、自分には受け流せないだろう、そうミカは思っていた。 雑念と重度の疲労でミカの呼吸は速くなり、集中が困難になった。 しかし、ファルカは余裕綽々という態度で遠くの相手に挨拶すると、武器を手に一人「隊長」のほうへ歩み寄った。「隊長」も部下に待機するよう指示して、ゆっくりと前に出る。 双方が極度の緊張状態にあるなか、ファルカは「隊長」と短い話し合いの末、合意に至ったようだった。 漆黒の人影が手を少し上げると、ファデュイの尖兵たちは音もなく幽霊のように消えていった。 その場にいた西風騎士たちはみな長い安堵のため息をつき、中には身震いする者もいた。しかし騎士団の戦線に戻ったファルカは、落ち着いた態度のままこう言った—— 「なんて偶然だ!こんな状況でなければ、あいつとは機を見てやり合ってみたいと思ってたんだがな!」 「あいつも意地を張るようなやつじゃない。見知らぬ土地で争うことが、お互いにとって不利益になるとわかってる…」 その時初めて、ミカは自分が戦争の導火線を跨いでいたことを、深く意識させられた。幸い、その導火線は点火されずに済んだのだが。 「隊長」の強烈な威圧感、そして大団長の危機における冷静な機転…この対峙は、ミカの記憶に深く刻まれた。 ミカはどんどん力をつけてこそいたが、このような事態に平然と対応できるようになるには、まだまだ先は長そうだった。 チームに全力を尽くすことで満足するのではなく、もっと努力し、もっと信頼されるようになり、あらゆる不測の事態を適切に処理できなければならない、そう彼は長いこと反省していた…
幸い、続く遠征の行程でミカはそれ以上危険に直面することなく、最も困難な時期を無事乗り切った。 そしてモンドの「ブリーズブリュー祭」期間中、ミカは大団長の手紙を携えてモンドへと戻り、遊撃小隊に帰還した。 遊撃小隊の仲間たちは歓喜しながらも驚いた——ミカの実力は、今や前衛三人分の仕事を一人でも余裕でこなせるほど目覚ましい進歩を遂げていたのだ。 大団長の手紙には、詳細は省かれつつもファデュイのことが書かれており、そしてミカが大団長の直属だったことを考えると…仲間たちの間で雑談が続くなか、とある奇妙な論理の連鎖が生まれた。—— 「ミカはファデュイと手合わせしたに違いない!それも恐らくファデュイの精鋭と!それどころか、大団長と一緒に執行官とさえ戦ったかもしれないぞ!」 「でなければ、急にあそこまで強くなれるはずがない!今や、ミカも俺たちの大英雄だ。今のミカになら、どんなことだって頼めるぞ!」 実のところ、ミカは確かに遠征で充分に鍛えられたとはいえ、遠征に同行した他の西風騎士たちもみな程度の差こそあれ練度は上がっていた。ただ、彼らがまだ帰ってきておらず、比較する対象がいないというだけの話であった。 こうした荒唐無稽な噂にどう釈明すればいいかわからず、ミカはジンとガイアに相談を持ちかけた。 ジンは各小隊の責任者に、冷静さを保ち、証拠に欠く情報を流さないようにと慎重に伝えた。また、遠征に関わる多くの事柄は軍事機密であり、もとより慎重に扱うべきであると釘を刺したのだった。 一方、ガイアはそれに納得せず、冗談めかしてこう言った——「西風騎士たちはみな、多かれ少なかれファデュイに不平不満がある。『ミカがファデュイをやっつけた』なんて、なかなか士気の上がりそうな噂じゃないか。」 とにかく、代理団長はすでに状況を把握していたうえ、誰か他人に迷惑をかけたわけでもなかったので…ミカもそれ以上取り乱すことはしなかった。 彼はいつも通り職務を執行し、助けを求める仲間に全力で手を差し伸べる。 ただ、誇張された噂が流れ、皆に信用されすぎるというのも、それはそれで困ったことのようだ… 最近は新しい地図の貸出や、武器のメンテナンス依頼、さらに遊撃小隊のレーションを一口たかろうとする者が現れるなど、ミカを頼る仲間は増える一方だ。 「前進測量士の勢い」にあやかり、ミカのように早く成長したいと皆思っているのだろう。
そのほかのゲーム内テキスト
40「特に『ファデュイ』の高利貸し!あいつらには報いを受けてもらわないと!」
クーヴァキ実験設計局でよく見られる小型の機械装置。操作台を使って動かすことができます。ファデュイにとっては、あまりにも見慣れた存在です。
ファデュイから品物を探し出せたら、あの商人の潔白が証明できるはずだ。
ファデュイ先遣隊·重衛士·水銃
岩を操れるロッドを使い、晶岩バリアを生成するファデュイの兵士。ある種の元素増幅状態に入ることが可能です。この状態の弱点は恐らく岩元素に反応できるある元素なのかもしれません…
俺の勘違いではない、お前がファデュイのセリフを先に奪っただけみたいだ。武器を構えろ!!
ファデュイ遠征隊の臨時本部
ちょっと見せて……うん、間違いない!これだよ…!本当にありがとう。この中には、ファデュイの悪事の証拠がたくさん書いてあるんだ。
ファデュイ先遣隊・遊撃兵・炎銃_三連射_投射物
ファデュイの戦士たちが「謎煙の主」から避難した人たちを競技場まで護送している。道はすでにアビスに汚染されているため、山道を使って迂回するしかない。現在の状況は不明。
だからイッサムはファデュイを見て怯えたのか…おっきくて、黒い服を着てたから…
(最近、ファデュイから取り上げた手帳のようだ。時間の経過により、ほとんどの字が読めなくなってる。)
ファデュイ·蛍術師がドロップ
ここがファデュイのやつらが言ってた拠点だよな…う~ん、もう誰もいないみたいだ…
…まあいいわ。「識者の証」を探しにいきましょ。あのファデュイたちがどっちに行ったかは覚えてるから、ついてきて。
偶然にも海乱鬼とファデュイの企みを阻止したが、晃は久岐忍の制裁から逃げられなかった。
「ニャオ。」「フォンテーヌから訪れた猫のお客様曰く、レイピアを持っている氷霜の従者たちはみんな礼儀正しくて優しいんですって。通りすがりの猫を見かけるといつも挨拶してくれるし、一部の猫の呼びかけには答えたりすることもできるそうよ?」 【特殊ルール】「ファデュイ·氷霜の従者」は最初から天賦カード「優雅な氷剣」を装備するようになる。
水元素をわずかに導く小さな生き物。 他の蛍類と共に「飛蛍」と呼ばれる。「霧虚ろ草」という珍しい不思議な植物に懐く性質を使い、ファデュイの術師は飛蛍を使う戦い方を発明した。
何がどうあれ、そいつらはファデュイだ。ヤツらが私たちにしたこと、もう忘れたのか?
特殊な使命を担う精鋭部隊で、彼らの行動はファデュイの最高意志を代弁する。
雷元素が付与されたウォーハンマーを装備したがたいのいい先遣隊兵士。 ファデュイの軍人になると豊かな資源を獲得できる:食料に装備、そして物資。 しかしそれと引き換えに、故郷や家族と離れ、顔も知らない戦友に命を預けることとなる。
ファデュイ先遣隊・遊撃兵・炎銃_頷く
「もし貴方様もファデュイに参加なさるのなら、教官たちの教官になるべきです」…そう申し上げたいところですね。
厳重警備のクーヴァキ実験設計局に押し入ろうとする輩が多くて、ファデュイがかなり困ってるらしい。へへっ、ざまあみろってんだ。
いいっすか、これは七星の天権「凝光」から聞いた信憑性のバリ高い情報。聞いた話では、七星はファデュイとの交渉を決裂させるつもりらしいっす。それによって、璃月の市場が打撃を受けるっす。
「執行官様の為に…」ファデュイたちが集まって何らかの計画を企んでいるようだ、これ以上暴れさせるわけにはいかない!
銃を売る際、ファデュイの士官の誠実な態度がかえって不必要な誤解を招いてしまった…
ファデュイ先遣隊・遊撃兵・炎銃_抵抗_ループ
ですが、まさかファデュイがヒルチャールの拠点に潜み、これほど長くここで陣取っていたとは。
何人かのファデュイたちが、海祇島との戦争を引き延ばすために共に協力しようと言ってきたんです。
極冬の国の、ファデュイに所属する特殊儀仗兵士。 「仕女」という名に象徴される威厳ある姿とは裏腹に、ファデュイの壮大な目的を達成するためなら、どのようなことでも行うことができる。
よく考えたらこれはファデュイにとっていいことだよ、これで璃月に何か騒動があるかも…
わかった!ファデュイがまたなにか悪さをしようとしてるのかもしれない。オイラたちも放っておけないぜ。
強靭な精鋭。ファデュイ特務隊・戦列兵を絶えず呼び寄せて、拠点に攻撃を仕掛ける。 この敵の周囲に他の敵がいる場合、70%のダメージ軽減を獲得する。
風元素を操って、仲間を援護するファデュイの兵士。ほかの先遣隊の兵士が元素増幅状態を解除され衰弱状態になると、蘇生の風の力を放ち、仲間を戦線に復帰させます。
どうやら間に合ったようね。確かにファデュイがたくさんいるわ。
護衛のファデュイと会話する
ファデュイを見下す人間がいたとは驚きだな…やつらが守ってるのはとんでもない代物に違いないぞ。じゃなきゃ、これほど大勢のトレジャーハンターが押し掛けるわけがない…
フン!俺たちファデュイを見くびるな!
九条家がファデュイと結託し、稲妻を破滅に追い込んでしまった。今は将軍様の裁きを待っている最中だ。