知論派
スメール教令院の六学院のひとつ。理論と知識そのものを扱う。
一次資料での用例
4この言葉が出てくる場面
16ファルザン先生は学生を募集できたのかな?知論派の人の話によると、彼女のプロジェクトには経費がなかなか降りないらしくて、学生が寄って来ないのも当然かも。はぁ…
ある妙論派の教材を開くと、著者のページにはファルザンの経歴が記載されている。 「ファルザン——教令院の卓越した学者。スメール謎解き協会名誉賞受賞者。古典ギミック術学科創始者の一人。」 しかし、知論派の志望選択の話になると、先輩たちは眉をしかめてファルザンの現状を語る。 「ファルザンか…彼女の研究は時代遅れだ。審査を通りやしない。うちの学院に出願するなら、別の指導教員にしたほうがいい。」 その評価は雲泥の差で、不思議に思わずにはいられない。 後輩たちの問いかけに、ファルザン先輩はいつも意味深な表情を見せる。 「ん?この百年間で何があって、何故こうなったか聞きたいと?それは重大な秘密なんじゃ。ちと耳を貸すがよい。もっと近う寄れ、もっとじゃ…」 ——そして、パチンとデコピンをお見舞いする。 「その好奇心は、学問の研究に回すがよい——それと、ワシのことは先輩と呼ぶんじゃ!!」
多くの後輩を驚かせたのは、ギミック術の領域で多くの成果を収めてきたファルザンは、実は文字研究をメインとする知論派の学者だという事実である。 簡単に言えば、彼女の研究領域は「石刻文字などの出土文献に基づいて古代遺跡の様々なギミックの構造と解き方を解明する」ことである。 百年前、教令院の古典ギミック研究はまだ未熟であった。そこへファルザンは古代文献によってギミックの動作を事前に予測し、遺跡の研究作業にかなりの利便性を提供した。 しかし、詳細が明らかになっていない遺跡が減っていくにつれて、妙論派のギミック関連学術も完全に近づき、彼女の研究は昔のような輝きを失ってしまった。 百年後、ファルザンが再び教令院に戻った時、知論派に彼女の論文が分かる学生はもういなかった。指導教員たちも彼女が提出した研究課題に対し、顔を見合わせるばかり。 一方、妙論派ではファルザンの手記を読んで卒業した学者が少なからずいる。彼女の苦境を聞き、クシャレワー学院へ移籍するよう説得を試みた学者は沢山いたが、成功した者は一人もいなかった。 説得する際には調子に乗って、「クシャレワー学院は将来ギミックを研究する実力を持つ唯一の学院だ」とか、「今はもう古代文字を解読する時代ではない!」と口走った学者がいたが、顔色を変えたファルザン先輩に丸二時限分もの時間、説教された。 その夜、学者はランバド酒場でやけ酒をし、落ち込んでいた。 知論派のある友人は彼の肩を叩き、一晩中慰めた。あまりの悔しさに、「明日知論派の答弁会で、あの頑固頭に仕返ししてやろう」という考えを胸に… ——次の日の夜、その友人もやけ酒の仲間入りをした。
研究課題が審査に通らないこと以外で、今ファルザンが最も頭を抱えている問題は、如何にして気に入った学生を招くかということだ。 知論派の体験授業で一連のギミック術の専門用語を聞かせると、いつも学生たちはみな頭を掻くか、居眠りし始める。 するとファルザンは大変腹を立てて教鞭を投げ捨てると、当時の知論派の同僚が仕事を怠り、風紀を正さなかったから、こんな後輩ができたのだと非難する。 意外にも、学生たちは百年前の人々が罵倒されるのを、ギミック理論よりも興味津々で聞き入った——ファルザンはもっと怒った。 ギミック研究を志す学生は、ファルザン先輩に勧誘されると、初めは感謝するのだが、所属先が知論派だと分かった瞬間、難しい顔をしてもう少し考えたいと言葉を濁す。 そして、考えた末の返答をファルザンが尋ねるよりも先に——次会う頃には、もう妙論派の学生となっている。 ティナリに誘われて雨林の遺跡を調査した時、ファルザンは森の奥へと歩を進め、そこで敬虔な祈りを耳にした。「——知恵の神様、あたしに文字をもっと勉強させてくれ!」 …祈りの声は切実で、真摯なものだった。ファルザンは思わず感動してしまった——今のスメールに、文字を研究することに対し、これほどの情熱を持つ者がまだいたとは! 今の声は文字を知らない幼子のものには聞こえなかったし、サティアワダライフにいる学者のものでもなかった。一人で雨林の奥深くにまで入ってきたということは、腕がいい証明だ。もしかしたら森のギミックに対処した経験もあるかもしれない。 しばらく考えたのち、百年の経験を持つファルザンは、この人物こそ研究方向もあっていて、素質も上等であり、学生に相応しいと判断した。学生にするとその場で決意したファルザンは、木の後ろから厳かに姿を現した。 そうして、周りに誰もいないと思い込んでいたコレイの叫び声が、森にこだましたのであった… 叫び声を聞いたティナリは、すぐに駆けつけてきた。コレイのしどろもどろな説明と、隣から入れられる師匠のフォローによって、この大きな誤解は解けた。 ファルザンもこの若いレンジャーのことをだんだん深く知っていき、彼女を改めて理解した。そして、毎回ガンダルヴァー村を訪れる度に、必ず美味しい差し入れを持って行くようになった。 しかし、コレイの戸惑いはさらに深まることとなった。——誤解は解けたけど、あたしを学生にするって考えは…むしろ強まったんじゃないか? 「師を尊敬し」「勉学に勤しむ」学生は…教令院に沢山いるはずだろ? コレイのどんな所に惹き付けられたのかは、ファルザン自身も気づいていないかもしれない。 その美点とは、尋常ならぬ苦難を経験しても尚、したたかに人生に立ち向かえるところだ。
多機能遺跡探索補助端末——コードネーム「毘藍婆」。これはファルザンが教令院に帰還した後に経費を申請できた、数少ないプロジェクトのうちの一つだ。 このギミックには、護衛と見回り、魔物退治、土砂清掃など様々な機能が搭載されている。ファルザン個人の好みで、触ったり押したりと暇つぶしに使える部品も多い。 しかし、意外なことに、この「家庭用·旅行用何にでも使える神グッズ」はマハマトラの一団を呼び寄せた。彼らは有無を言わせずファルザンの工房に押し入ると、コードネーム「毘藍婆」を細かく精査し始めた。 そして、一見用途のない部品を大量に見つけると、マハマトラたちの疑いはさらに深まった。ファルザンの「それはただのストレス発散用じゃ!!」という主張を無視し、彼女の新作を解体してくまなく調べようとしたのである。 しかし幸い、駆け付けてきた大マハマトラのセノが部下たちを止め、事なきを得た。 謎の失踪を遂げた上、その間に起きたことについて言葉を濁しているからには、ファルザンは何らかの秘密を抱えていると、マハマトラたちは疑っていた。 クシャレワー学院の誘いを断ったのは、知論派の審査員がギミックのことを理解していない点を利用して、危険なものを再現しようとしているからではないか、と。 何しろ、キングデシェレト文明に触れた学者は皆、その奇妙な英知に引き込まれずにはいられなかったのだから。そういう理由で、ファルザンがギミックを作り始めたと聞いた彼らは、ものものしい警戒態勢を取り、過敏な反応を見せたわけである。 セノはファルザンと関連するすべての記録を調べて、彼らの疑問点を一つひとつ潰していき、部下の僭越な行動についてファルザンに謝罪した。そして一人のマハマトラを残し、後始末を任せたのであった。 ファルザンはちょうど人手不足に悩まされていたので、この対応については大変満足だった。大マハマトラの公正な判断を気に入り、ファルザンは新作の命名を任せたいと思った。 すると、セノは少し考えた後、こんな意見を出した——このギミックは出力が高いし、マハマトラたちともこうして繋がりを持った…「大マッハマシン」にするのはどうだ? …その時のファルザンは、キングデシェレト遺跡を見た時よりも困惑した表情だった。 ありがたいことに、すぐ傍にいたマハマトラが、クシャレワー学院が既に同名のギミックを出しているからとフォローを入れてくれた。冷めきった顔でファルザンはその場でその提案を断り、セノに命名の「深意」を問わなかった。 だが「大マッハ」と「マシン」の組み合わせを参考に、ファルザンは新作の名前を思いついた——「毘藍婆重機」は、こうして誕生したのである。
これは教令院から貰った優秀学者賞で、こっちはスメール謎解き協会から貰った生涯功績賞、そしてこっちが遺跡仕掛けシンポジウムの…どうじゃ、ワシに弟子入りしたくなったか?コホン、ちなみに先輩であるこのワシは知論派の学者じゃ。ワシを探すならクシャレワー学院じゃなく、ハルヴァタット学院に来てくれ。場所を間違えるでないぞ。
知論派の連中はいつも「知名度が低い」、「人気がない」といった理由でワシの研究費の申請を却下する。その基準じゃと、現在もっとも人数の少ない学派である知論派は、いっそハルヴァタット学院を閉鎖したほうがよいじゃろうな。
知論派の研究が妙論派で応用できるように…そもそも知識に仕切りなど存在しないものじゃ。すべての学者はクラクサナリデビ様に感謝しておる——教令院を、いや、この知恵の学術都市であるスメールを私欲の束縛から解放し、知識を求める人々に知恵の海を探求する機会を与えてくれたんじゃからな…
ワシの研究領域の地位はもう昔ほどではない。知論派がワシの経費申請を通してくれなかったのも初めてではないんじゃ…妙論派からは何度も指導教員にならないかと誘われてきた。提示された条件は本当に魅力的なものじゃったよ——より高額な経費に、より多くの学生…じゃが、ワシは断った。なぜなら、誰も見向きもしない分野であろうと、責任を持って開拓し研究せねばならん。全人類の知恵を一歩前に押し進めることは、誰かがやらねばならぬことじゃからな。
学者の国スメールでは、学術と知識がすべてである。言い換えてみれば、スメールで教令院からある程度認められた学者は往々にして高い地位に就く。アルハイゼンはそんな学者家系の生まれであった。両親が事故により若くして亡くなったため、彼は妙論派出身の祖母によって育てられた。 アルハイゼンには、両親についての印象があまりない。後に祖母の口から、両親はともに教令院で職についていたことを知った。父はかつて知論派で指導教員を担当しており、母親は因論派で有名な学者だったのだ、と。 アルハイゼンの優秀な頭脳は、そんな両親からの遺伝によるものだ。彼は幼少期から非常に聡明で、七歳か八歳のころには既に同世代の子が触れたがらない難解な学術書籍を読んでいた。祖母はそんな彼の優れた素質に気づき、教令院へ早めに入学することを勧めた。…しかし、アルハイゼンはたった半日授業を受けただけで、家に帰ってきてしまった。——この半日、教令院で関わったのはみんなつまらない人たちだった。あの人たちの、まったく価値のない授業を聞いているよりも、自分で読書している方が好きだ——彼はそう祖母に伝えた。祖母はアルハイゼンの中に彼の両親が持っていた才能や性格を見て取り、家で独学することに同意した。 アルハイゼンの独学とは、閲覧と分解、そして再築と懐疑である。学者家系の一員である彼は、幸運にも紙媒体の本に触れることができた。面白い事に、アーカーシャから情報を取得するよりも、彼は祖母のコレクションである紙の書籍を読む方が好きだった。 アーカーシャと比べて、紙の書籍は不便で、古臭く、内容の正しさすら保証されない。このような知識の媒体を利用するということは、間違っている可能性のある情報とも闘争せねばならないことを意味しており、大半のスメール人はそのような闘争を避けたがる。しかしアルハイゼンはそんな闘争を楽しんでいた。彼はそこから、学習し、分析し、訂正する能力をものにし、さらに懐疑という概念を身に着けた。もし質素で原始的な読書が「面倒事」だとすれば、それはアルハイゼンの最も気に入っている面倒事と言えよう。 祖母はアルハイゼンにこう告げた。「あなたもあなたの父親と同じで本を読むのが好きねぇ。あなたたちのような人が聡明さを与えられすぎたのかどうかは分からないけれど、特別だということはいつだって富なのよ。絶対に覚えておいてね。」 知識を認め、追求して信じ、さらに疑うことも絶対に忘れないように。恐らくこれをできた人間だけが、缶詰知識といった便利な媒体にも簡単に心を動かされずに済むのだろう。そして、その条件に適う人材しか知恵の殿堂の奥に保管されているアーカーシャの説明書にまで手を伸ばすこともないだろう。 祖母の言った通り、本には無用な情報が数多く存在している。しかし優れた頭脳はアルハイゼンのために選別をしてくれる。彼が読んだ後もなお記憶に残る本があれば、それはいつの日か彼の助けになり得るかもしれない。 祖母が亡くなった後、アルハイゼンは一人で彼女の葬儀を手配した。そして、彼女が残した財産と、家にあった小さな書庫を受け継いだ。亡くなる前、祖母は心を込めて彼にある言葉を贈った。「あなたは聡明すぎる人間よ。天才の大半は自分勝手で独りよがりな行動を取る。優秀なことも、一般の人々よりも高い視野を持つことも、悪い事じゃないわ。でも必ず用心深く、人より冷静でありなさい。虚栄心から追求し続けることはすべて塵よ。あなたの最大の知恵をもってして、自分の道を識別して選びなさい。」 アルハイゼンが教令院に提出した申請書はすぐに許可され、入学試験を高い点数でパスした彼は知論派に入ることとなった。学院側はアルハイゼンに、彼の祖母が生前、他の学院の傍聴資格を申請していたことを告げ、暇があれば他の授業を聞いてみるのもいいと伝えた。アルハイゼンは祖母の教えに従って、終始、自我と理性、そして控えめな態度を保ち続けた。 数年の後、アルハイゼンは新しい家へと引っ越した。彼は書庫にあった紙の書籍をすべて新居に運んだ。整理する際、彼はかなり昔に読んだ本を何冊か見つけた。本の扉に祝福の言葉が書かれている文化関連の書籍はほとんど母親のコレクションで、本に資料が挟まれており、ページにメモがぎっしりと書かれているのは、基本的に父親の物。それからもう一冊、上質な装丁で作られた翡翠色の分厚い本の扉には、祖母の筆跡が残されていた。「私の孫、アルハイゼンが平和な生活を送れますように。」
破産した後、カーヴェはしばらく落ち込んでいた。アルカサルザライパレスは、様々な出来事で出来た彼の心の穴を一時的に埋めてくれたが、同時に彼に証明した——理想を叶えるには、いくら捧げても足りないということを。彼は戸惑い、モラがなければ何もできない世の中に苦しめられた。幼い頃から強がりだったカーヴェは、破産して懐に小銭しか残っていないことを同級生たちに知られたくなかった。仕方なく酒場でやけ酒にふけると、一本飲み干した後、テーブルの横で酔いつぶれてしまったようで、起きても同じ場所にいた。 酒場のマスターであるランバドがいつも好意で彼に席と無料の飲み物を取っておいてくれるもので、お返しに、カーヴェは酒場の二階にある特別席をデザインし直してあげた。たまに酒場で教令院の学友に出会うこともあったが、カーヴェはここで酒を飲みながらアイデアを練っているフリをした。そうしてカーヴェは酒場に半月以上も居続けた。その期間に、彼はもう友人とは呼べなくなった「彼」に再会したのである。 カーヴェの昔の友人と言えば、知論派出身の現書記官アルハイゼンを抜きには語れない。学生時代のアルハイゼンは同年齢の者たちよりも遅れて入学したが、成績はずば抜けていた。人々は高い点数を取った学生がいることのみ知っていたが、それが誰で、普段どこにいるのかまでは知らなかった。その学生のことと言えば、妙論派の年配学者までが首を横に振り、賢すぎて扱いにくい天才だと評するほどだった。 その年、カーヴェは母との離別を経験したばかりで、孤独な日々を送っていた。彼は偶然図書館でこの後輩と出会い、好奇心に駆られるまま話しかけた。こうしてカーヴェは知論派の天才アルハイゼンと知り合ったのだ。しかしその後…一方的な思い込みに頼って友人を作ろうとしてはいけないと、時間が証明することになる。自分より二歳年下のアルハイゼンは才能と知恵に富んでいるが、個性や人となり、学術の方向性から理想と観念に至るまで、すべてが自分とは真逆の人間だということにカーヴェはすぐ気が付いた。 学院にいた頃、カーヴェは様々な思い出を作ったが、最も不愉快だったのは、やはりあの共同研究課題だ。二人は互いに才能を認め合い、古代建築と古代文字および言語学の研究を行うプロジェクトを始動することに決めた。カーヴェはアルハイゼンに、研究チームの提唱者になることを勧めた。最初、研究グループには他の学生もいたが、課題が進むにつれ、みんなついて来られなくなった。個人間の、あまりに残酷で直観的な才能の差に、カーヴェは初めて気が付いた。教令院は才能と学術資源を限界まで結び付ける。そのため、人々はある理屈を切実に理解している。アルハイゼンの言葉を借りると、一部のことに関して上限を決めるのが才能で、下限を決めるのが努力だという。一般人と天才はいずれ現実的な要因によって分けられるのだから、属さないグループに無理やり入ろうとする必要はない——しかし当時のカーヴェは、それらは結果ではなく過程にある障害に過ぎず、知恵は多くの人によって共同で開発されるべきだと、頑なに考えていた。これ以上脱落者を出さないために、カーヴェは他の学生たちがやるべき仕事まで、己の時間と体力を割いて処理し、重い負担を自ら背負った。アルハイゼンはこれに始終反対していた…カーヴェがやることは理想主義的すぎる、と。学術は慈善事業ではないし、一時凌ぎの手助けでは現実を変えられないのだ。このようにして二人の意見は別れた。 そしてあるとき、ついにチームに残ったメンバーはアルハイゼンとカーヴェの二人だけになった。積み重なった問題は限界点に達し、一気に爆発した。カーヴェは、アルハイゼンは個人主義的すぎた、より多くの人を助けてやればもっとみんなに受け入れられたはずだと主張した。一方アルハイゼンは、カーヴェの現実離れした理想主義は現実逃避にすぎず、いつかは人生の負担になる。そしてその根源はカーヴェの内にある、避けられない罪悪感から来ていると指摘した。ここまで話してきて、何よりもカーヴェの心を刺したのは、最も親しい友人の核心を突く言葉だった。アルハイゼンは彼が長年直視出来なかった事実を突き付けた。そうしてカーヴェは初めて、現実に傷つけられた痛みを感じ、賢すぎるこの男と友人になったことを後悔したと宣言した。 別れた後、アルハイゼンはためらいもせず論文から署名を削除し、カーヴェは怒りのあまり、己が担当した箇所の論文を破った。しかし、しばらくするとまた後悔して、それらをかき集めて貼り合わせたのだった。カーヴェはあの友人を変えられないと気づいた。逆もまた然りだった。 後日、二人は学術的刊行物に何度も正反対の意見を出し、互いの論点に反駁し合った。『キングデシェレト文明の古代遺跡における古代文字と建築デザインの方向性についての解読』の研究はすでに、学術界に著しい進展をもたらしていた。言語学における成果について言えば、一部の古代文字における、欠けていた文法的理論の空白を埋めたおかげで、複数の重要な古文書の解読を可能にした。建築学における成果もなかなかのもので、一部スメールの特殊地形における家屋の耐力構造を最適化し、偏狭の地に住む民の生活を大幅に改善した。教令院はこれを奨励して、この研究プロジェクトに特別な研究場所を提供した。しかし、人材不足と、主たる研究者の価値観のすれ違いによって…このプロジェクトは最終的に中止となった。 研究課題の失敗は、カーヴェの人生における、消せない過去になった。あれから数年間、何度も挫折を経験したカーヴェは、独りよがりの考えを堅持することが必ずしも役に立つとは限らないことをようやく認めた。すべてを失って初めて、彼は過去の友人の言葉に含まれた深意を理解した。——何にも頼らず天上の花園へと登ろうとすれば、足を踏み外して落ちて死ぬことは避けられない。カーヴェは天才でありながら群集に憧れ、のけ者にされることを無意識に恐れている。彼とアルハイゼンの違いは、まさにそこにあった。 時を酒場のテーブルへと戻そう。それは数年ぶりの再会だった。カーヴェはたまたま酒を買いに来たアルハイゼンの出現に驚き、アルハイゼンは彼が置かれている最悪の現状を一目で見破った。長く生活に追い詰められていたカーヴェはすべての悩みを打ち明けた。問題はどうせ隠せるものではない。それに、唯一関係性が破綻しているこの友人の前でなら、取り繕う必要もなかったからだ。彼は様々な愚痴をこぼした。夜が更けて酒場をあとにし、かつて家だった方角を見るまで、彼は口を閉じなかった。アルハイゼンはと言えば、話を聞くと、またカーヴェのことを見透かしたように、答えにくい質問をした——「君の理想はどうなった?」 学者に間違いを認めさせられるのは現実だけだが、カーヴェは何が現実なのか分からなかった。逃げる必要など無いほどに美しい幻境を追い求める彼は、自分自身を代償として支払うことさえ厭わない。故に、この理想自体は間違いではなく、それを実現する自分の手段のほうが間違っていたと、彼は未だにそう信じていたのだ。 諦めてはいけない。たとえ彼の施した善行が埋め合わせのためだったとしても、それがもたらした結果は一部の人にとって有意義なことだった。理想の国に辿りつけなくても、その輝きが人々を惹きつけることは紛れもない事実なのだ。 幻のような現実…例えば、帰る場所をなくした彼がひょんなことから昔の友人の家に住み着いていること。この書記官名義の不動産は、まさに当時教令院が提供してくれた研究所を転用したもので、あの頃カーヴェがそれを放棄していなければ、余った学術資源も合法的なルートを辿って住宅になることはなかっただろうということ。アルハイゼンが無条件で善いことをしたりしないと知っているカーヴェは肩身が狭く、家事の手伝いを自ら提案したが、結局はすべての雑務を引き受けることになったこと…それらはドン底にいる人間にとって、一応の悩みではあるが、同時にあることを証明してもいる。変えられない友人こそが、人生の中で揺るぎない過去なのだと。理性と感性、言語と建築、知識と人情…これらの決して融け合うことのできないものたちは、いつも鏡の表と裏を、ないし世界全体を形作っている。
ファルザン先輩は…率直にものを言うタイプなんだ。教令院の一部の生徒は彼女を恐れているらしいが、それも無理ないな。でも、別に先輩は悪巧みをしようと考えてるわけじゃなくて、ただ興味のある学問に専念しているだけだ。知論派の人間は付き合いにくいと言う人もいるけど、それはまあ…ははは… 君も、彼女から生徒にならないかって誘われただろ?確かに、先輩は時々気の狂ったセールスマンに見えることもある…だけど彼女の学識は本物だ。その点は間違いない。
自分より懐に入ってくるのが上手い人を初めて見たよ!教令院の近くをぶらついてたら、彼女に新入生と勘違いされて、いきなり見学に連れてかれたんだ。今すぐ知論派に入れば、二十種類の言語の教材パックがもらえて、しかも話せるようになるまで教えてくれるってさ、びっくりしたよ。他の学生に聞いたら、あれは学院内のジョークで、卒業の必須条件じゃないって教えてくれた。けど、どこが面白いんだ?あの話を聞いたら、絶対に入りたくなくなるだろ。
ファルザン先生は学生を募集できたのかな?知論派の人の話によると、彼女のプロジェクトには経費がなかなか降りないらしくて、学生が寄って来ないのも当然かも。はぁ…
ファルザン先輩は…率直にものを言うタイプなんだ。教令院の一部の生徒は彼女を恐れているらしいが、それも無理ないな。でも、別に先輩は悪巧みをしようと考えてるわけじゃなくて、ただ興味のある学問に専念しているだけだ。知論派の人間は付き合いにくいと言う人もいるけど、それはまあ…ははは… 君も、彼女から生徒にならないかって誘われただろ?確かに、先輩は時々気の狂ったセールスマンに見えることもある…だけど彼女の学識は本物だ。その点は間違いない。
自分より懐に入ってくるのが上手い人を初めて見たよ!教令院の近くをぶらついてたら、彼女に新入生と勘違いされて、いきなり見学に連れてかれたんだ。今すぐ知論派に入れば、二十種類の言語の教材パックがもらえて、しかも話せるようになるまで教えてくれるってさ、びっくりしたよ。他の学生に聞いたら、あれは学院内のジョークで、卒業の必須条件じゃないって教えてくれた。けど、どこが面白いんだ?あの話を聞いたら、絶対に入りたくなくなるだろ。
そのほかのゲーム内テキスト
40はぁ…妙論派の好意を受けぬなら、知論派の生徒に授業をしなければならんと?ワシよりも、やつらのほうがよっぽど嫌がっておるやもしれぬがな。
知論派はハルヴァタット学院に属しており、言語と文字を世界の核心や本質と捉えている学派です。
知論派の者は長きに渡って、古代ルーンと関わっている。話し方も変わっていて、メンバーも少ないし、将来性もない。
ファルザン先輩は…率直にものを言うタイプなんだ。教令院の一部の生徒は彼女を恐れているらしいが、それも無理ないな。でも、別に先輩は悪巧みをしようと考えてるわけじゃなくて、ただ興味のある学問に専念しているだけだ。知論派の人間は付き合いにくいと言う人もいるけど、それはまあ…ははは… 君も、彼女から生徒にならないかって誘われただろ?確かに、先輩は時々気の狂ったセールスマンに見えることもある…だけど彼女の学識は本物だ。その点は間違いない。
さすが言語や文字を研究する知論派の学者…
「建築をする」とは何だ?普段研究しているのは建築の幾何学とギミック術だ。文字の相手をする知論派より、ずっと難解だと思うぞ。
やっぱりこの路線でいくのはやめよう、そう簡単にはいかなさそうだ。それに、そんなつまらないパスワードにしていたことが知論派にバレたら、いい笑い者だ…
落ち込んでいる木彫りの頭。「アランナラ木彫り」の組み立てに使える。色付けされておらず、原木の独特な質感や香りを有する。 とある知論派学者の研究によると、大人より、子供の方が主人公が挫折する物語を受け入れやすい。その理由は恐らく、童話では基本的に良い結末を迎えられるに対し、大人の世界ではそうとは限らないからだろう。
知論派の範疇の授業となると、多少開きづらいかもしれませんが…いずれにせよ、もうこれ以上先延ばしにはできませんから。どうか答えを出してください!
自分より懐に入ってくるのが上手い人を初めて見たよ!教令院の近くをぶらついてたら、彼女に新入生と勘違いされて、いきなり見学に連れてかれたんだ。今すぐ知論派に入れば、二十種類の言語の教材パックがもらえて、しかも話せるようになるまで教えてくれるってさ、びっくりしたよ。他の学生に聞いたら、あれは学院内のジョークで、卒業の必須条件じゃないって教えてくれた。けど、どこが面白いんだ?あの話を聞いたら、絶対に入りたくなくなるだろ。
落ち込んでいる木彫りの頭。「アランナラ木彫り」の組み立てに使える。ピンク色に色付けされており、咲き誇る大輪の花を連想させる。 とある知論派学者の研究によると、大人より、子供の方が主人公が挫折する物語を受け入れやすい。その理由は恐らく、童話では基本的に良い結末を迎えられるに対し、大人の世界ではそうとは限らないからだろう。
シェアしたいこと·知論派
…派出身の祖母によって育てられた。 アルハイゼンには、両親についての印象があまりない。後に祖母の口から、両親はともに教令院で職についていたことを知った。父はかつて知論派で指導教員を担当しており、母親は因論派で有名な学者だったのだ、と。 アルハイゼンの優秀な頭脳は、そんな両親からの遺伝によるものだ。彼は幼少期から非常に聡明で、七歳か八歳のころには既に同世代の子が触れたがらない難解な学術書籍を読んでいた。祖母…
ワシが所属する学派は、「ギミック」を研究する妙論派でも、エネルギーの流れを研究する素論派でもない。言語や文字を専攻とする知論派なんじゃ。
「百年前」より訪れた学者——ファルザン。知論派の名高い大先輩でありながら、ギミックへの造詣が深いことでスメールでは名を馳せている。 かつて見知らぬ遺跡に閉じ込められ、数多の危険を乗り越えてやっと脱出に成功した。しかし、そのとき遺跡の外のスメールでは百年が経ち、もう彼女の記憶にあるもので…
ご存知かもしれませんが、「知論派」は言語や符文を研究する学派です…百年前、ファルザン先輩は知論派の学者でした。
ふむ…まあ、妙論派が提示してくれた経費の額は、知論派ではなかなか手に入らんのじゃがな…
丁寧な手紙:「古代ギミックの文献解読についても興味はあるのですが、現在取り組んでいる知論派の研究がまだ道半ばで…」
「喜んで知識を求める姿勢さえ持っているならば、ワシの門下に入らずともよいのじゃ… じゃが、本当に考え直してはくれんのか?知論派の授業も面白いものじゃぞ!」
教令院が主催する盛典「学院祭」で掲げられた旗。「知論派」学者のハルヴァタット学院の象徴で、厳粛な黒色をしており、言語と符文研究における緻密な知恵を表している…
は、はい。ただ…今の知論派の学生たちは…先輩の研究方向をまるで理解できていないんです。選択科目講座を開いたとしても、聞きに来る者は誰もいないと思います。
多くの後輩を驚かせたのは、ギミック術の領域で多くの成果を収めてきたファルザンは、実は文字研究をメインとする知論派の学者だという事実である。 簡単に言えば、彼女の研究領域は「石刻文字などの出土文献に基づいて古代遺跡の様々なギミックの構造と解き方を解明する」ことである。 百年前、教令院の古典ギミック研究はまだ未熟であった。そこへファルザンは古代文献によっ…
ファルザン先生は学生を募集できたのかな?知論派の人の話によると、彼女のプロジェクトには経費がなかなか降りないらしくて、学生が寄って来ないのも当然かも。はぁ…
オレが所属してる知論派を例にすれば——言語学の研究を行っているんだけど——文学性についての議論は少なくて、文の機能や構造の方向にばかり話が行く。
学生を一人抱えられたら…知論派のやつらがワシに経費を出してくれぬ理由も一つ減ることになる!
(ふん!浅はかな知論派め!)
そういえば、もし今回の共同研究がうまくいけば、ワシは知論派を避けつつも、直接教令院に経費を申請することができるのではないか…
…、その間に起きたことについて言葉を濁しているからには、ファルザンは何らかの秘密を抱えていると、マハマトラたちは疑っていた。 クシャレワー学院の誘いを断ったのは、知論派の審査員がギミックのことを理解していない点を利用して、危険なものを再現しようとしているからではないか、と。 何しろ、キングデシェレト文明に触れた学者は皆、その奇妙な英知に引き込まれずにはいられなかったのだから。そういう理由で、ファルザンがギ…
…はぁ、そんなことはないぞ——ほれ、ワシは知論派の学者じゃが、ギミック術のことも沢山知っておるじゃろ?
けれど、この試みはどれも続きませんでした。因論派と知論派の変人たちの物事を見る角度が独特というか…その、異常で。
これは教令院から貰った優秀学者賞で、こっちはスメール謎解き協会から貰った生涯功績賞、そしてこっちが遺跡仕掛けシンポジウムの…どうじゃ、ワシに弟子入りしたくなったか?コホン、ちなみに先輩であるこのワシは知論派の学者じゃ。ワシを探すならクシャレワー学院じゃなく、ハルヴァタット学院に来てくれ。場所を間違えるでないぞ。
研究課題が審査に通らないこと以外で、今ファルザンが最も頭を抱えている問題は、如何にして気に入った学生を招くかということだ。 知論派の体験授業で一連のギミック術の専門用語を聞かせると、いつも学生たちはみな頭を掻くか、居眠りし始める。 するとファルザンは大変腹を立てて教鞭を投げ捨てると、当時の知論派の同僚が仕事を怠り、風紀を正さなかったから、こんな後輩ができたのだと非難す…
生論派が重視していない、文学的素材も活用できます。でも、そうするとそれは因論派や知論派の領域になってしまうんです。
だから、我々知論派のリファエットこそ最も適した人選。
オホン。研究方針を異としておることは別として、妙論派の姿勢は評価に値する。少なくとも、知論派の朽木どもよりはマシじゃのう。
「知論派」で選択科目の授業を開くべきか、それとも「妙論派」で共同研究に携わることを選ぶべきか?うぅ…正直、どっちも選びとうない。
「古代ギミックの文献解読についても興味はあるのですが、現在取り組んでいる知論派の研究がまだ道半ばで…」
落ち込んでいる木彫りの頭。「アランナラ木彫り」の組み立てに使える。青色に色付けされており、森で流れる川を連想させる。 とある知論派学者の研究によると、大人より、子供の方が主人公が挫折する物語を受け入れやすい。その理由は恐らく、童話では基本的に良い結末を迎えられるに対し、大人の世界ではそうとは限らないからだろう。
ふん、言われずともわかっておる。また知論派の連中じゃろ?ったく、やつらには、時間をもっとまともな研究に使って欲しいもんじゃのう。
若者よ、普段からもっと体を動かせ!でないと、大先輩たるワシの体力についていけんぞ。ワシの時代ではな、知論派が調査に出かける時…