アアル
スメールで語られる古い知識網。アーカーシャの前身にあたるものとして本文に現れる。
一次資料での用例
4この言葉が出てくる場面
24うん、聞いたことある…有名な「夢遊の怪人」だよね。彼女の「夢遊」に関する噂は色々あるよ。怪力の重量挙げとか、夜中にアアル村へ侵入したとか、片手で防砂壁を飛び越えたとか…あと、寝ながら10万字の論文を書いたっていう噂もね!どういうこと、まったく一貫性がないじゃん。
オッドアイを持つキャンディスは、アアル村の「ガーディアン」を任されている。 アアル村を訪れるすべての旅者に対し、キャンディスは必ず最大の善意を尽くし、一部の人が無礼を働けば、相手をすぐに正してそれ以上の追求はしない。 キャンディスにとって、何よりも重要なのが村の掟だ。この辺境の地を尊重しさえすれば、誰もがアアル村で休息を取ることが許された。 しかし、もしこの寛容な態度を弱さと見なし、アアル村で不義を働こうとする者がいれば、もっとも大きな代償を払うこととなる。 その時、彼らはキャンディスの槍と盾が何よりも恐ろしい武器だと気づくだろう。 アフマルの子孫、砂漠の民、ガーディアン…重き身分を背負ったキャンディスは、アアル村を守るという永遠の職責を担っているのだ。 「この村では、掟を守る人だけを歓迎します。」
「アアル村こそが、キングデシェレトの末裔にとって最後の安息の地である。」 「アアル村の『ガーディアン』の使命とは、最後のキングデシェレトの民がいなくなるまで、この村を守り続けることである。」 八歳の時、キャンディスは正式に新たな「ガーディアン」に任命され、彼女に職位を授けた者からそう忠告された。 キングデシェレトが逝去し、彼ら末裔がこのような俗世から離れた地を手にしたのは何よりも良いことだった。 ガーディアンたちは代々、黙々とその職務を執行した。無数の村人が「キングデシェレトの末裔」としてこの世を去り、永遠の安寧を手に入れられるよう守り続けた。 そうやって村の中で静かに消失していくことが、アアル村の人々の悲願なのだ。 しかし、この古の村に新たな生命が現れた時…これまでのすべてが、変化せざるを得ないかもしれない。
村長のアンプおじさんが、スメールシティからやってくるキャラバンがまもなく村に到着し貿易を始めると宣告すると、前任の「ガーディアン」たちは自身の耳を疑った。 考えが古い前任の「ガーディアン」たちは激昂し、「お前は伝統を破壊している」と責め、現任の「ガーディアン」であるキャンディスに守衛を集めて商人たちを追い出すよう要求した。 しかし、キャンディスはそれを拒否した。彼女はすでに村長と合意していたのだ——村の人々の未来のため、アアル村は変わらなければならないと。 何度も説得したが、前任の「ガーディアン」たちは聞く耳を持たなかった。さらには「キャンディスがやらないのなら、自分が武器を取ってガーディアンとしての責務を果たす」と主張し始めた。 最終的に、槍と盾のぶつかる音が彼らの激しい口論を鎮めた。キャンディスは立ち上がり、槍と盾を手にして微笑みながら周囲を見回すと、驚いた表情の古参たちに向かってこう言った。 「皆さんの気概が見られて、私はとてもうれしいです。」 「でも、今のアアル村の『ガーディアン』は私ですから、皆さんはもう休んでいてください。」 武器の説得力が言葉に勝ったのか、激しい口論も止まったようだ。 短い準備の後、キャンディスは「ガーディアン」として村長に同行した。そして、正式にキャラバンを迎え入れて彼らと貿易の交渉を行い、相手が村から出る時は自ら護衛についた。 数日後、再びキャラバンが村を訪れると、一見何の変哲もない布地の取引を済ませていった。 このキャラバンが取引を成立させた情報をスメールシティに持ち帰りしばらくすると、スメールの商人たちの間で新たな話題が出回り始める。 「なぁ、知ってるか?アアル村に商売をしに行ったらかなり儲かったらしいぞ!今度、俺たちも試してみないか…」と。
実際のところ、キャンディスが槍と盾を使って他人と発言権を争うようなことはほとんどない。 アアル村の子どもたちはいつも「キャンディスお姉ちゃん」がどんなに怒ったとしても、ただ眉をひそめて、悪いことをした子どもにクルスームおばあちゃんが用意した法帖を書き写させるだけだと思っていた。 アアル村の他の守衛たちは、キャンディスの要求は厳しくとも、適切に行動しない人や怠惰な人に対して彼女は体罰を加えることはせず、懇切丁寧に彼らを指導すると思っていた。 村の老人たちは、キャンディスは負の感情を表に出さない人だと思っている。彼女はこれまで、彼らの前で悲しい顔を見せたことがなかったのだ。 村を訪れる商人ですらも、キャンディスからはとにかく完璧なおもてなしを受けた。出迎えから宿泊に至るまで、すべてが彼女によって整然と手配された。 彼女があまりにも優しすぎるせいか、商人たちを少し不安にさせてしまう程であった—— この村は、大赤砂海に隣接しているのだ。周囲には多くの魔物がいるだけでなく、無法者の盗賊たちがこの村を狙っているに違いない。 このような「ガーディアン」で、本当にみんなの暮らしを…それと商売を守っていけるのだろうか…? ある晩、酒が入りすぎた行商人が勇気を持って聞いてみた。 「ガーディアンさん、俺たちはこの村で商売ができるようになったけど、知ってるでしょう?この砂漠には無法者もたくさんいるってことを…」 「それなら心配いりません。掟を守る人だけがアアル村のお客様ですから——つまり、掟を守らない人は…」
掟を守らぬ者はアアル村の「敵」である。 砂漠に身を潜めるエルマイト旅団、冒険者になりすましてやり過ごそうとする盗賊、荷物を奪うため現れる宝盗団……この村を脅かそうとする者は、どんな手段で逃げ隠れしようとも最終的には相応の罰を受けることになる。 心から罪を認めて反省した者は赦され、砂漠を越えるのに十分な補給も与えられるが、その代償として彼らは二度とアアル村の周囲に姿を見せてはならない。 頑なに抵抗を続ける者の場合…その卑劣な魂は、その場で砂礫と運命を共にするだろう。 砂漠を離れたあるエルマイト旅団のメンバーはかつて仲間に対し、アアル村の恐ろしい「ガーディアン」キャンディスこそ真のキングデシェレトの末裔だと警告した。 彼女の盾にはアフマルの祝福が宿っている。盾を手にすれば、大赤砂海のすべての砂礫が彼女の呼びかけに従う。彼女が願えば、巨大な砂嵐を引き起こしてすべての敵を呑み込むことすら可能なのだ。 それだけに留まらず、彼女の琥珀色をした左目には未来を見通し、相手の運命を見抜く力があるという。これほどまでに恐ろしい存在の彼女だ、その追跡から逃れられる者は誰一人としていない。 人々は、キャンディスがこれら神通力でアアル村にとっての「敵」をすべて一掃したと信じている。
アフマルの恩恵を真に感じ取ったことがないのは、キャンディス自身が知っていた。 「ガーディアンは未だかつて神に祝福されたことがない」——これは「ガーディアン」の間に伝わっている秘密だ。 新たに「ガーディアン」となり盾を手にし、正式に任命されて初めて、その者は真実を知らされる。 真実を知った「ガーディアン」の反応は様々であり、ある者は自暴自棄になって落胆し、武芸の修練すらも怠けるようになる。またある者は自分が見守られていないのなら規律を守る必要がないと身勝手な行動をし、果てには掟を無視する。 しかし、キャンディスはその事実で落胆することはなかった。 「私の槍と盾は、神の恩恵を祈るために振るうものではありません。」 「神の祝福があろうと無かろうと、『ガーディアン』の責務が変わることはありません。」 来る日も来る日も彼女は鍛錬に励み、他人より優れた意志と武芸を自ら身に着けた。 アアル村を訪れた多くの客人がキャンディスを引き抜こうとした。彼女は誰よりも優れているのに、どうしてアアル村のような目立たない場所に留まる必要があるのか?もし彼女が外の世界に出たいと思えば、新しい事を始めるのも不可能ではないかもしれないのに… しかし、キャンディスはいつもこう答える。 「『ガーディアン』が守るべき対象から離れることはありません」と。
キャンディスはよく、アアル村を訪れた客商から様々な装飾品を購入する。 水色の石がはめ込まれたヘアピン、シルクでできたヘアバンド、金メッキが施された首飾り、カルパラタ蓮の模様が刻まれた金属の腕輪、教令院の各大学院の紋章が描かれたペンダントなど… ディシアからは、普段からもっとおしゃれをしてお金を自分のために使ったらどうだと勧められるが、装飾品の中にはあまりに脆いものもある。普段の仕事環境のことを考えると、せっかく買った品を壊してしまうのではないかとキャンディスは心配し、結局それらを衣装棚の奥にしまっていた。 どうやら、これらの装飾品はキャンディスが一時的に「ガーディアン」の職務から解放され、他の服に着替えて日陰で休む時になって初めて役立ちそうだ。もしくは、いっそのことプレゼントとして友人にあげてしまう手もある。
部外者がひっきりなしに訪れ、アアル村は未だかつてない状況に置かれていた。 商人を装って村に潜入した宝盗団、キャラバンを脅かす傭兵集団、悪巧みをする悪徳行商人… それに、外の人々と関わったことでアアル村の住民たちは次第に外での生活に憧れを抱くようになった。そうして次第に外で生計を立てようとする人が増え、村に残りたいという若者が減ってきた。 前任の「ガーディアン」たちは伝統に「背いた」キャンディスに早くから不満を抱いていた。アアル村がそんな状況に置かれているのを見て、彼らは再び会合を開きキャンディスを非難した。 「ガーディアンがすべきことは、村の秩序を守ることではないのか!」 「キャンディス!お前のやっていることはすべて、この村から平穏を奪うことにしかなってないではないか!」 「キャンディス!今すぐ自分の職務を全うしろ!」 激しい論争の最中、長槍を持った女戦士が猛然と立ち上がった。 「もう十分です!」 「あなたたちがこの村の『過去』をそんなに守りたいと言うのなら、自分で守ってください!家の中に閉じこもろうが、アアル村を離れようが、あなたたちの勝手です!」 「私はアアル村の人々を永遠に『過去』に縛り付けておくことはしません。」 「あなたたちが前に進もうとしないなら、私が一人でみんなの『未来』を守ります!」 古参のガーディアンたちは女戦士の激昂する様子に驚いた。若く、炎のように燃え上がる瞳を前に、彼らはそれ以上問い詰めることなどできなかった。 めったに見せない怒りと共に、キャンディスは長槍を持って争いにまみれた小屋をあとにした。 まるで彼女の信念に応えるかのように、槍の先端にはいつの間にか輝く「宝石」があった。 神の眼差しが彼女に気づき、彼女を認めたのだ。 「神の目」、それは揺るぎなき心。それは最良の装飾品となる。
私はアアル村で生まれ育ちましたが、物心ついた頃から、この村を守る責任を祖父から引き継がねばならないことを分かっていました…今では自ら求めて引き受ける、私の天職なんです。
私の父は教令院の学者です。研究のためにアアル村までやってきて、それで私の母と出会ったそうです。母については、ほとんど父から教えてもらいました——私が生まれた日、母は永遠の夜へと足を踏み入れました…
あなたはアアル村のお客様です。旅の途中で眠くなったり疲れたりしたときは、いつでもここに来て休んでくださいね。アアル村はあなたを永遠に歓迎します…もちろん私も。
アアル村で過ごす日々はとても楽しい…でも同時に、油断して大きな過ちを犯してしまったら、二度とこのような毎日には戻れないと思い知らされます。
何というか、今まで出会ったどの学者とも違う、不思議な学者さんですね…独自の発想と洞察力をお持ちだと思います。あの鋭さが、アアル村の平和を乱さないといいんですけど…
ディシアは、エルマイト旅団の人を連れてアアル村に宿泊する時、いつも下の者たちの行動を抑えてくれます、まあ…手間を省かせてくれるということですね。ディシアは…ふふっ、大雑把で勢い任せのように思えますが、ああ見えてとっても可愛いんですよ。
キングデシェレトの民は永遠に誇りを捨てはしません。彼も同じはずです。例の件についても、最近聞きました——ヘルマヌビスの栄光が、能ある者と共にあらんことを。近頃はスメールシティで活躍していて、セノさんたちには、またアアル村にも来てくれると言っていたと聞きました。楽しみです。
たまに、アアル村の平和を乱そうとする不届きな輩がいます。やっぱり…あの連中たちを魔獣だらけの谷に追いやるだけでは、優しすぎたでしょうか。どう思いますか?何か他に、いいアイデアはないですか?
お誕生日おめでとうございます!あなたは過去のいつかの年——同じこの日に生まれたんですね。すっごく素晴らしいことです。ところで、何か望みはありますか?もし危険な場所に行きたいのなら、私が旅のエスコートをしてあげますよ。もし少し休みたいということでしたら、アアル村に来てください。最高の焼いたお肉とドリンクをご馳走します。
セトスはほぼ毎晩「友達」という言葉を口にする。 友達と称される人物は物語の随所に登場した。外見も年齢も、性別も身分もみなバラバラだ。セトスがその友達の名前を明確に口にしたことは一度もない。ただ「僕の友達はいいやつばっかりだ。みんながいなければ、僕の暮らしはそりゃあもう退屈だっただろうね」と言うばかりだ。 大マハマトラ·セノはセトスの初めての友達だと言えるだろう。厳密に言うと、二人は旧知の仲だ。セノがまだ沈黙の殿にいた頃、セトスと会話したことがある。その後二人は共に跋霊移植の実験台となり、憑依されたことで記憶の一部を失った。セノのほうが状況はより深刻だった。沈黙の殿での暮らしについては、ほぼ完全に忘れてしまっている。セトスのほうはまだ症状が軽く、人に関する記憶を失っただけで済んだ。 彼は、自分が何を忘れたかはっきりとは言えなかった。実の両親のことかもしれないし、幼馴染の姿形かもしれない。幸いセノ以外の幼馴染はみな沈黙の殿に住んでいたため、彼らの顔を改めて覚えるのはさほど難しくなかった。一旦忘れた友達セノについても、その後再会して本物の親友になった。セトスはそれが嬉しくて、時々セノを「兄弟」と呼んだりもする。 砂漠を出てから、兄弟セノの親友ティナリもセトスの大事な友達になった。ティナル人の血を引くこのレンジャー長は、普段アビディアの森で暮らしている。彼は木や植物、森に迷い込んだ人々について、一旦話し出すと止まらない。緑の乏しい砂漠出身のセトスは、ティナリの仕事や生活に大いなる興味を寄せていた。彼はよくセノと一緒にティナリの家で食事をご馳走になったり、コレイとテント張り競争をしたりする。 頼りになる傭兵ディシアやアアル村のガーディアン·キャンディスとも、その後すぐ友達になった。キャンディスはさらにセトスを村に招き、村民に砂漠の奥から来た旅の者だと紹介した。 不思議そうな顔をするセトスに、キャンディスはこう答えた。「あなたは毎日あちこち行ったり来たりで忙しそうですから、そう呼ぶのが一番ふさわしいと思ったのです。自分の定めた道をひたすら突き進めるのは、とても素晴らしいことですよね」 ある穏やかな日、セトスは沈黙の殿に戻った。 彼は検討中の課題を持ち帰って皆に共有し、雨林の様々な特産品を渡した。沈黙の殿には雨林に行ったことのないメンバーも多数いる。彼らは珍しいものを見てとても喜んだ。 仕事を終えたセトスは古びた水嚢とお気に入りの楽器、アビディアの森の木の葉を携えた。その夜、彼はかがり火を焚き、バムーンの墓碑のそばで一夜を過ごした。 悲しみや迷いが理由ではない。セトスはただ、自分を育ててくれたじいちゃんのそばに戻りたいと、それだけを願っていた。バムーンのそばにいると、どこまでも心が凪いでいくように思えた。 「これは友達が選んでくれた葉っぱ。特別なものじゃないけど、すごくきれいだから見せたかったんだ」 「あ、そうだ。別の友達からは旅の者って呼ばれた。どう思う?昔じいちゃんが旅の者だと名乗ったとき、皆からそれにしては行った場所が少なすぎると言われたよね。僕が今それになったんだ。僕なら時間もたっぷりあるし、じいちゃんよりその名にふさわしいと思うよ」 彼は葉っぱをかがり火に入れた。片手でそっと手招きをするように、炎がふわりと舞い上がった。 セトスは薪を動かして、笑った。「そっか。じいちゃんも賛成してくれるか」
おっ、すごい。アアル村からキングデシェレトの霊廟まで、ノンストップで突っ走れる気がするよ。冗談じゃないって。やってみせようか?
静かな夜、揺らめくろうそくの炎が便箋を照らしている。友人に宛てたその手紙は、まだ書き始めたばかりだった。 「親愛なるキャンディスへ。教令院での学生生活が始まったよ…」 ネフェルの筆はそこで止まった。何を書くべきか悩んでいるようだった。 記憶の底までひっくり返しても、思い出せるのは同級生たちの悪意ある、または無邪気で残酷な質問のことばかりだった。 「砂漠の人間って、殺し合いをするんだろ?原因は何なんだ?書物には大半が金や水源を巡る争いだってあったけど、本当なのか?」 「砂漠の人間って単純な算数もできないんでしょう?教令院が人を派遣して、教育してあげてるって聞いたわ。」 「君たちは何を食べるんだい?砂漠の人間は動物の生き血をよく飲んでいて、そのおかげで過酷な環境でも生きていられるって聞いたよ…ふふ、これホントなのかい?」 …… 都市部の温室で育った学生たちは、ネフェルを「同級生」どころか、対等な存在としてすら接することがなかった。 彼らにとってネフェルは、好奇心を満たすための真新しい鑑賞物に過ぎなかった。「自分は彼らに踏みつけられるためにここにいる」——ネフェルにはそう思える瞬間すらあった。 ネフェルはきちんと説明し、時には怒りを表明した。あらゆる資料を集め、砂漠での微かな思い出まで掘り起こした。すべては、彼らの考える「砂漠の人間」などどこにもいないと証明するためだった。 「…教令院にあたしの居場所はないのかもしれない。アアル村に帰るべきなのかも。キャンディス、あんたに会いたい…」 …… だが便箋一切れに、彼女の本当の気持ちを全て書き込むことなど不可能だった。それに、手紙を無事に届けるためには、行儀のよい言葉遣いをする必要もある。 ネフェルは引き続き手紙を書いた。教令院での新鮮な出来事、各学院の特色、スメールシティのグルメや変わった人々、そして華やかなグランドバザールのこと… やがて「近況報告」の最後には、受け取り手を安心させるための、幸せの上辺を切り取った言葉が添えられた。 「…新しい友達ができた。彼女、お香にとても興味があるんだ。機会があればあんたに紹介するよ。」 「親愛なる友人、ネフェルより」
ネフェルがトキの王と交渉した時のこと。アアルに閉じ込められて連絡が取れなかったトキの王は、使者——すなわち、子猫のアシュルを派遣した。 そしてその子猫の体を借り、トキの王とネフェルは短い会談を果たした。 興味深いことに、アシュルに憑依したトキの王とアシュルの間には、身体的な感覚の共有が生じていたらしい。 残念ながら、ネフェルがそのことに気づく前に、狡猾なトキの王はアシュルの体を離れ、アシュルを普通の子猫に戻してしまった。 ネフェルがアシュルをいつもそばに置いている理由は—— アシュルがかわいいからだけではない。 館の女主人は、こう考えているのだ。トキの王が再びアシュルの体を借りて交渉に来るようなことがあれば… 今度こそ、その「絶好のチャンス」を逃してなるものかと。
「…確かに、交渉の材料としては十分だ、ネフェルさん。」 「北の大陸情報網」からの使者は、ネフェルからの思いがけない提案を受け入れた。使者は「秘聞の館」に、裏切り者を見つけて制裁を加える手伝いをしてほしいと依頼しに来ていた。だがネフェルは全てを予見していたかのように、目的の人物は3日後、取引のため「秘聞の館」を訪れると語った。その後、裏切り者のことは好きにしていいという。 そしてネフェルが見返りとして要求したのは、「トップの人間と話をさせろ」というものだった。 使者は老齢のエージェントを思い浮かべた。「北の大陸情報網」において絶大な権限を持つその人物は、後継者探しを始めていた。そして今回の「秘聞の館」の訪問も、ほかならぬ彼が許可したことだった。もしかすると、あの老人は既に…… ネフェルとエージェントの会談が実現すれば、「北の大陸情報網」のトップの座は、思いがけない人物の手に渡るかもしれない。 使者は不必要な波風を立てかねない思考を胸の奥にしまい込むと、ネフェルに礼を述べてから立ち去った。 …… 使者の後姿を見つめながら、ネフェルは天高く放り投げた「月の輪」をキャッチした。 その「月の輪」は、使者との話を終えた後、使者が持ってきた贈り物の箱の底に現れたものだった。真珠や黄金の中に紛れているそれを、ネフェルはすぐにただならぬ逸品だと見抜いた。普通の人間には作り出すことなどできず、ましてや贈り物のリストにも含まれていない。 だがネフェルが気になったのは、「月」にまつわるもう一つの出来事だった。 昔、彼女はアアル村で虚言の名人と話をしたことがあった。「トキの王」と呼ばれるその佞臣の口達者ぶりは、今でもよく覚えている。彼は自分がどうやって3つの月を渡り歩いたか、いかにして地上の愚かな人々を導き、万物の運命の糸を紡ぎ、万物を反映させたかを自慢げに語っていた。そして彼はスメールにたどり着き、キングデシェレトに見出され、偉大なる「キングデシェレトの七柱」の長になった。キングデシェレトと酒を酌み交わし、花神と共に緑を育て…要するには、彼の恩寵を受け入れれば、並外れた力が手に入るという話だった。 ネフェルはそんな戯言を信じるはずもなく、老いた詐欺師が自分の信頼を勝ち取るために即興で仕立てたデタラメだと一蹴した。そもそも、キングデシェレトにより罰せられ、アアルに閉じ込められた佞臣は3人いる。長い歳月の中でその3人が結託し、民を騙すための作り話をでっちあげていても不思議ではない。 「お前は何も信じないというのか?」子猫に憑依したトートは、怒りを露わにして言った。彼の毛は逆立っていたが、それはわざとではなく、猫が怒るとそうなってしまうというだけだった。 「神がその知恵をもって騙そうとすれば、人は必ず騙されるだろう。」ネフェルは肩をすくめた。「だから、あんたの言うことは一言も信じられないのさ。」 「でも、あんたがあたしにくれるという力のことは信じよう。」故郷を失った砂漠の人間は微笑んで言った。「あたしにはもう何もないんだ。それ以外に信じられるものは、もう何も…」 …… ネフェルは「月の輪」を弄びながら、思わずニヤリとした。 ——トートの数々の嘘の中にも、少しだけ真実が混じっていたようだ。 それから、彼女は待ちわびたこのプレゼントを書類袋に放り込んだ。 3日後の会談で、このとんでもない品が相手を縮み上がらせてくれるだろう。
キャンディスとは古い付き合いで、あたしがアアル村に流れ着いたときに初めて出会ったんだ。当時、あたしに声をかけてくれる人なんて数えるほどしかいなかったけど、彼女はそのうちの一人でね。それからというもの、一緒に獣を追い払ったり、盗賊と戦ったり、遭難者の世話をしたりした…キャンディスのことは「友人」と呼んでもいいかもしれない。
そのほかのゲーム内テキスト
40アーカーシャのメインシステムと機能の多くは、アアルと酷似している。開発に前後関係があるか、同じ技術が採用されていると考えるのが妥当だ。
でも、アアル村一帯の砂漠はどちらかといえば静かな方だから、ほとんどの時間は外部の物資送達の情報を報告してる。
ゆえに、アアルが必要なのですね。
それに、我らをアアルという牢獄から解放したのは、他ならぬスメールの民です。時代が移ろう中で、人間は確かな知恵を身につけたようですね。
沈黙の殿の記録によれば、アアルはキングデシェレトの至高なる構想から生まれ、人間の職人と神の手によって造られた、霊廟の最奥に隠された奇跡だよ。
…での微かな思い出まで掘り起こした。すべては、彼らの考える「砂漠の人間」などどこにもいないと証明するためだった。 「…教令院にあたしの居場所はないのかもしれない。アアル村に帰るべきなのかも。キャンディス、あんたに会いたい…」 …… だが便箋一切れに、彼女の本当の気持ちを全て書き込むことなど不可能だった。それに、手紙を無事に届けるためには、行儀のよい言葉遣いをする必要もある。 ネフェルは引き続き手紙を書いた…
人間の中でも傑出した存在である教令院の学者たちが、「アアル」を開放し、改造しています。彼らはそれも世界樹のためだと言っていますが…
誅罰を下したいなら好きにすればいいが…お互い、アアルの一部は人間にしか操作できないことは知っているだろう。
残念だが、神王が消えた時、アアルはまだ理想の完成形に至っていなかった。それを使って世界樹をどうこうするのは、相当に骨が折れるぞ。
それは、アアルが完成しなかったからだ…神王の渇望虚しく、その完成を見届けることは叶わなかった。
今、世界樹奪還のために、最も優れた学者たちがアアルを改造して、複数の目的を同時に果たそうと試みているわ。彼らの要請に応えてくれて、本当にありがとう。
たまに、アアル村の平和を乱そうとする不届きな輩がいます。やっぱり…あの連中たちを魔獣だらけの谷に追いやるだけでは、優しすぎたでしょうか。どう思いますか?何か他に、いいアイデアはないですか?
神王は確かに人間に希望を抱いています。ですが、アアルがそのように設計されているのは…人間に対する信頼というより、貴方たち三人に対する警戒でしょう。
びっくりするほどの腕前ですね!「七聖召喚」の達人が、まさか人知れずアアル村を訪ねてくださっていたとは!
王の恩恵を賜り、英知と意志を集約し…アアルの門扉を再び開かん。
現在、シェセプアンクとベンヌ、学者たちがアアルの整備を手伝っています。彼らの欠席をご容赦ください。
しかし、やはり環境は劣悪で、小さな砂嵐が一回発生するだけで耐えられないほどだ。どうしても行く場合は、アアル村で信頼できる道案内を探しておいたほうがいい。
【イベント説明】 砂海には不可解な危険が潜んでおり、教令院は機械の力でそれに立ち向かおうとしている。 そしてアアル村の近くで、あなたは焦る表情を見せるとある学者に出会った… 【参加条件】 冒険ランク28以上、かつ魔神任務「迫る客星」をクリア。 【イベントルール】 教令院の学者を手伝って「対ウェネト殺蟲大砲」を完成させ、砂漠を徘徊するウェネトを倒して報酬を受け取りましょう。
ですが、アアル村のガーディアンたるもの、あまり目立つ服を着るべきではないのです。華やかな服は、適切な場面で着なければ。
私は長い間アアル村の村長をやってきた。何か問題が起きたらいつでも相談しに来てくれればいい。
まず、アアル村に秘密などはない。
壁に吊る飾り物。精巧な作りで、華やかな見た目である。その姿は燃えるクロトキの羽のようで、アアル村の手作り工芸品の代表作とも言える。しかし、これはとある年長の職人が晩年その技術を極めた際の試作品であるため、量産化することはできない。そのため、非売の記念品として、村長の家の壁に飾られている。あるいは技術の模範として、若き職人の励みになっ…
つまり、アーカーシャはアアルから生まれ、そのアアルの根源は天空の島の技術にある。
う~ん…全体を繋げてみると、つまり「臓器」になんらかの操作をすれば、新しい道が開いて、「アアル」に到達できるってことかな。うん、なんか不思議な感じだ…
それでは——苦難を乗り越え、流離う旅人さん。キングデシェレトにまつわる古い伝説を聞きたいですか?それともアアル村の過去についてお聞きになりますか?
琥珀色の左目を持つ、キングデシェレトの末裔。アアル村のガーディアンをしている。
「俗世は幽冥とアアルの間に流れる川のようである…凡人は越えてはならん、探求してはならん…んー…読めない…背く者は永遠の幽冥に落ちるであろう…」
このまま見て見ぬふりをしていれば、あたしの旅団も、アアル村の人たちも、いずれはやつらに狙われるかもしれない。
またな。暇があったら、アアル村に遊びに来てくれよ。
(そうだったのか?それなら、アアルを建設する職人がいたのも頷ける…偉業を成し遂げるには、やはり人間の助けが必要だったんだな。)
ああ、「砂漠に戻る」ってのは、人のいない砂の大地に戻って生活するって意味じゃねえよ。砂漠の端にあるアアル村に戻るってことだ。
見ての通り、このアアル村は砂漠に囲まれていて、少しも緑がないから、環境が良いとはとても言えないだろ。
キングデシェレトの七柱——明ノ頂・聖者ベンヌ。 三王とは異なり、キングデシェレト・アフマルが創り出した知的構造生命体である。キングデシェレトは彼に「アアル」の扉を守る責務を命じた。 ベンヌは自由意志を持ち、「アアル」の中にある永遠の理想郷——黄金の眠りを守護していたが、キングデシェレト・アフマルの死後、自我を閉じ、沈黙に陥った。 知的構造生命体であるとはいえ、ベンヌは非常に際立った個性を持っ…
大変失礼しました。私はサバーフと申します。お二人方、アアル村へようこそいらっしゃいました。
アアル村の西側入口を守る
うん、聞いたことある…有名な「夢遊の怪人」だよね。彼女の「夢遊」に関する噂は色々あるよ。怪力の重量挙げとか、夜中にアアル村へ侵入したとか、片手で防砂壁を飛び越えたとか…あと、寝ながら10万字の論文を書いたっていう噂もね!どういうこと、まったく一貫性がないじゃん。
王がアアルを築いたのも、時間を逆行させ、あらゆる盛衰、愛憎、善悪のすべてを…何もかもが始まる前の、原点へと戻したかったからなのかもしれないな。
アアルの機能について、あなたがたに聞きたいことがある。
アルハイゼン、カーヴェ。アアル改造計画は、すぐにでも次の段階へ進めないといけないわ。二人とも、よろしく頼むわね。
アアルの情報は大抵、古い砂漠の文字で記録されている。この砂漠の文字で綴られているのはどこかの部族の言語だ。こっちは字の形からして、オアシス文字の仲間らしいな。