一次資料 / 書籍
一等兵の手記・3
この本、全部そのまま載せてあるぞ。写し間違いなんて無いからな!
巻
一等兵の手記・3
一等兵の手記・3
拝啓… 俺はこれを誰宛てに書いているのだろう。自分かもしれない。この土地と俺たちが携わっている忌々しい任務に完全に呑み込まれてしまう前に、滑稽なほど脆い理性が一瞬でも自分のものであった証を残しておこうと思う。 俺の名はピョートル・ドミトリーヴィチ・オルロフ。スネージナヤと全スネージナヤの女皇に仕えるナド・クライ第六連隊に所属している。俺はドミトリー・セルゲイェヴィチ・オルロフとイェヴフロシニャ・イワノヴナ・オルロワの次男として誕生した。その出自を恥じたことはない。俺たちの連隊はここで全滅した。E・スミルノワ一等兵ただひとりが、A・ヴォルコフ軍曹の犠牲により渓谷を脱し、設計局に死者からの救援信号を発した。もしあなた方がこれを読んでいるとすれば、我々の上官に伝えてほしい。スミルノワ一等兵は脱走兵ではないし、ここで起きた災厄とは一切無関係だと。 A・Z・カルナツキーとV・A・プレオブラジェンスキーの呪われた実験が、ここをこんな風に変えてしまった。彼らはもうこの世にはいない。女皇陛下、どうかその死を呪いたまえ。彼らが永遠に清き雪原に眠ることがないように。俺はあの2人がどんな冒涜を働いたのか知らないし、知りたくもない。ただあの色がすべてを食らいつくし、何もかもが消えてしまった。もう何も残っていない。あいつらは元々、あの忌々しい石の中に潜んでいた。月から落ちてきたあの呪われた石に。カルナツキーとプレオブラジェンスキーが別々にあいつらを呼び覚ましてしまったのだ。(理解不能で低俗なスラングが十数回書きなぐってある)。あいつらの目的が何かはわからない。だが、あいつらは来たのだ。パラスコヴィヤ、愛しのパラーシュカ、この兄を許してくれ。女皇陛下、どうかすべてをお許しください。あいつらが来た、助けてくれ。来た、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にた… ゲーム内テキスト(784文字)
一等兵の手記・1
一等兵の手記・1
…中尉の命でここに駐留してからもう三週間が過ぎた。設計局のために材料集めに駆り出された新兵に比べれば、ある意味退屈なほど幸運なのかもしれない。この忌々しい荒野には、盗賊どころか人影すらない。日記でも書いて時間を潰すか、野草をぼけっとながめるくらいしかすることもない。あの教授2人がわけのわからない実験を早く終わらせてくれたら、また愛しのパラーシュカからの手紙を受け取れるのに。彼女は軍事学院でうまくやっているだろうか。偉そうな貴族連中にいじめられていないだろうか… …イレーナは退屈すぎて、こっそりキャンプを抜け出して狩りに出かけた。さすがはモレペソクの娘だ。規則などまるで眼中にない。戻ってきたところをヴォルコフ隊長に捕まって、職務怠慢の罪で散々罵倒されていた。その後は彼女が持ち帰った羊肉をみんなでおいしくいただいたわけだが。長らく本物の肉にありつけなかったせいか、皇都で食ったどんなものよりもおいしく思えた。もしかするとそれが、あのワイルドな辺境の民がこの忌まわしい土地で暮らす理由なのかもしれない… …教授たちの対立が徐々に表面化してる。これが実におもしろい。なんせここには他に暇つぶしもないのだから。どっちもオルジェイナヤ・パラタの大物で、お互い一歩も譲る気はない。特に月の破片に関する研究では、どちらが先に圧倒的な成果を出して女皇陛下の称賛を勝ち取るかを競っている。カルナツキー教授は今や露骨にプレオブラジェンスキー教授を見下している。彼の娘の婚約者は頭のおかしい男で、今の地位に登り詰めたのも完全に(…)のお陰だと面罵したほどだ。あの気の毒な老人はそんな下品な言葉を聞いたことがなかったのだろう。怒りのせいで顔を真っ青にして今にも倒れそうになりながら、妖精語でブツブツと何やら呟いていた。俺には一言も聞き取れなかったが… …少なくとも、ここの羊肉はうまい。次はヴォルコフ隊長が狩りに出かけて、俺たちから職務怠慢だと非難される番かもしれない… ゲーム内テキスト(830文字)
一等兵の手記・2
一等兵の手記・2
…何かがおかしい。ペトレンコがしどろもどろになりながら女皇陛下の御名にかけて語った話によると、深夜にぞっとするような、なんとも形容しがたい唸り声がしたというのだ。それはおぞましい野獣の息づかいにも、瀕死の負傷者の嗚咽にも似ていたという。夜警をしていたイレーナを含め、俺たちは誰もその声を耳にしていなかった。だがキャンプの周辺には、奇妙な痕跡がかすかに残っていた。何者かが重い物を引きずったような痕だ。それは命ある者の仕業ではない。あんな痕跡を残せる生物が存在するはずはない… …ヴォルコフ隊長は、プレオブラジェンスキー教授の部下たちが怪奇現象を偽装したと疑って、俺たちに罠を増設させた。さらには万が一に備えて、俺たち全員の命より高価な警備ロボまで配置した。エネルギーの浪費についてどう上層部に説明するのかは知らないが、なんとか言いつくろうのだろう… …カルナツキー教授の研究はかなり順調に進んでいるようだ。昼休みにはなんと、俺たち一般兵士(以前は愚かな下僕どもと呼んでいた)に向かって研究成果について熱弁を振るい始めた。死人のように瘦せこけたその顔には、異様で忌まわしい赤い光が宿っていた。彼は死の間際に見せる一瞬の輝きのように、何度も繰り返し狂ったうわごとを呟き続けた。曰く、月の破片から「最も純粋な原初の光」をいかに抽出したか、今後どのようにして世界のベールを切り裂き、陛下の希望に最初の火種を灯すか…俺にはまったく理解不能だった。ただぎこちなくうなずいて、一日も早い実現を祈ると伝えるのが精一杯だった… …その心をかき乱す考えから逃れるために、俺はヴォルコフ隊長に今日は自分が狩りに行くと申し出た。ここ数日は気温が異常に下がり、空気はかび臭い湿り気を帯びて嫌な臭いを発していた。いつもならそこら中にいる羊たちもどこかに姿を隠していた。恐らく俺たちの頻繁な狩りの影響だろう。もしくは寒さのせいかもしれない。それでも俺はキャンプからさほど離れていない場所で一匹の羊を見つけた。 …それは狩りと呼べるものではない。ただ見つけたというだけだ。その羊はその場で硬直していた。まるで誰かが丁寧に置いた死体のように、羊には似つかわしくない表情を浮かべていた。白濁した眼球は外側に膨らみ、魚の目のように張り出している。だがそれは死体ではなく、生きていた。俺がその胸を引き裂くと、心臓はまだどくどくと脈打っていた。心臓にナイフを突き立てると悪臭が噴き出し、薄暗い光の下で深緑色の血が飛び散った。それでも羊は微動だにしなかった。腫れあがった両目で前を見つめたまま、自身の死になんの反応も示さずにいた。その命はもう自分のものではないとでもいうように… …女皇陛下、どうかお目こぼしを。俺はこの件を小隊の誰にも伝えていない。羊肉は変わらずおいしかった。それだけでもう十分だ。みんなを怖がらせる必要はない。カルナツキー教授の研究が終われば、俺たちはこの忌まわしい土地を出られるのだから… ゲーム内テキスト(1238文字)